自動車・携帯電話・がん治療まで応用可能なマルチコアプロセッサ及び並列化コンパイラ、社会実装へ

自動車、携帯電話からがん治療まで
環境にやさしく電力の少ないコンピュータ技術の製品化が開始

世界初で米国特許済み、低消費電力マルチコア産官学連携研究が社会実装へ

早稲田大学グリーン・コンピューティング・システム研究機構(機構長 松島 裕一 研究戦略センター特任教授)に研究起点を置く笠原博徳教授(アドバンストマルチコアプロセッサ研究所所長)、オスカーテクノロジー株式会社は、環境にやさしく電力の少ないコンピュータ技術の製品化を開始します。

このコンピュータ技術は、「マルチコアプロセッサ及び並列化コンパイラ」と呼ばれ、複数のコアを持つ高性能な処理装置と、その性能を最大限に引き出す世界で唯一のアルゴリズム(コンピュータの計算手順の最適化)です。世界最高レベルの高速化と、各プロセッサの動作周波数と電圧の制御・動作停止等により消費電力を低減する自動並列化コンパイラ技術を世界で初めて開発に成功しました。この技術を中心に、米国特許第7895453号「MULTIPROCESSOR SYSTEM AND MULTIGRAIN PARALLELIZING COMPILER」等すでに30件の特許を取得、開発チップは、半導体に関する国際会議ISSCCでも採択され、総合科学技術会議PDF)にも紹介されました。数十社もの企業と産官学連携してきた実績から研究が社会実装へ向けて動き出します。

本研究により、さまざまな製品化の可能性が広がります。自動車の分野ではエンジン制御の並列化に世界で初めて成功、小型機器の分野ではスマートフォンで消費される電力を音楽圧縮時1/9・フルセグ動画伸張時1/4に削減します。医療の世界ではカプセル内視鏡用画像圧縮64コアで55倍高速化等の成果が得られ、重粒子線ガン治療計算では64コアで55倍高速化の成果が得られます。防災の分野では地震波伝搬計算128コアで110倍の高速化を実現します。これら研究成果に基づく自動並列化コンパイラは、来年にはオスカーテクノロジー社より製品として発表され、制御用プログラムの開発に使用される予定です。

このように、本研究成果は社会実装へ向けて、自動車、携帯電話からがん治療まで、わたしたちの生活利便性向上に大きく寄与することが考えられます。さらに、日本における経済産業競争力の強化や、病気・災害から生命を守ること、省エネによる環境保全等に寄与すること等、多方面での社会貢献が期待されます。

この研究の代表的実現例は、『組込み総合技術展 ET2015』(11月18~20日、パシフィコ横浜、一般社団法人組み込みシステム技術協会主催)で、早稲田大学笠原・木村研オスカーテクノロジー社の両方のブースにて実際にデモ展示、説明を致します。

グリーン・コンピューティング・システム研究機構 概要

早稲田大学は、2011年に早稲田大学グリーン・コンピューティング・システム研究機構を発足させ、「情報通信技術活用による低炭素化」に貢献する研究を行っています。産業界と積極的に交流し、超低消費電力プロセッサ、クラウド・システム、スマートグリッド等、研究開発された技術を社会に還元すべく活動しています。

kasahara

図:低消費電力マルチコア産官学連携研究の開発目標(出典:笠原研究室)

 

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