所沢キャンパスについて、皆さんはどのくらいご存じでしょうか。人間科学やスポーツ科学の教育研究が行われている所沢キャンパスを訪ねてみると、一途に研究に取り組んでいる留学生を見かけることは珍しくありません。
今回、韓国からの留学生の人間科学研究科の修士課程1年のコン・アランさん、中国からの留学生のスポーツ科学研究科の博士課程2年の項 密(コウ・ミツ)さんに早稲田大学へ留学したきっかけ、自身の将来などについて伺います。

コンさん(左) コウさん(右)
──日本に留学したきっかけは。
項:私の場合は、大学時代からスポーツ健康管理に関して大変興味を持っていましたが、 私の大学はそのような専門がありませんでした。大学院への入学を希望していましたが、中国では健康管理という専門がある大学は少ないため、海外の大学を探してみると、日本は健康やスポーツに関する研究がトップレベルの国の一つということが分かりました。もともと日本については、テレビなどメディアからの情報で安全な印象があり、良いイメージを持っていました。またアジアの国なので、文化も近いと思っており、日本語にも興味を持っていました。
コン:私は学部が日本語学科でもともと日本語にとても興味があったのですが、日本語学科というのは日本語を中心に学ぶ場です。卒業する時に日本語ではなく日本の社会などをもっと勉強したいと思って韓国の大学院に進み、修士課程を修了しました。そこからさらに研究してみたいと思い、日本への留学を希望することとなりました。
──日本に来るまで、早稲田大学との関わりはありましたか。
項:中国では早稲田大学を卒業した有名人がたくさんいます。スポーツ医学では、早稲田大学の評判はとても良かったので、早稲田大学に大変興味がありました。
コン:早稲田大学は韓国ではとても有名な大学であり、また韓国の大学で修士課程在籍時に早稲田大学の教授の本に感銘を受けるなど大学への印象もとてもよかったので、ぜひとも早稲田大学に留学したいと思いました。
──日本に留学することを決めたとき、周りの人の反応は。
コン:自分の両親は当然だと思ったらしく、何も言いませんでした。なぜかというと、私が今まで専門としてきた内容は日本に関することだったので、留学に行くとしたら、当然日本というイメージが強く「なぜ日本に行くの」というのは全くありませんでした。
項:私も両親からの反対はありませんでした。東日本大震災があった時、私は日本にいたので、そのときは両親、親戚や友達に「日本は危ない」などと言われました。しかし、私は全く心配していませんでした。もともと日本は信用できる印象があり、来日してからも思った通りで安心な国だと地震後でも思っていたからです。
──所沢キャンパスについては。
コン:初めて所沢キャンパスに来たとき、多少びっくりしたのを覚えています。小手指という駅に降りて、スクールバスでさらに10分くらい行ったところにキャンパスがあり、とても自然が豊かなところであったためです。学校の周りに食堂がほとんどないのは少し残念ですが、都心から離れた分、研究に専念できるところだと思います。「静かなところで研究したい!」という方に良い場所だと思います。
項:所沢キャンパスは景色や空気がとても良くて、静かなところです。「トトロの森」と呼ばれています。駅から遠いことや周りに店がないため、ちょっと不便なところもありますが、スポーツ科学の学生にとって実験設備も整えているし、研究や運動もできる環境に恵まれています。
──留学生活での困った経験について。
コン:私は日本への留学が二回目だったので、あまり慌てずに済みましたが、賃貸の契約は初めてだったので、結構難しく、これで本当にいいのかという不安がありました。また、外国人ですから、保証人を立てられない場合は保証会社に頼むこととなり、知らない会社と契約するわけですから、心細い思いをしました。留学に来る学生に対して伝えたいのは、最初に来るときは手続きが多種あるので、他の留学生でもいいし、日本人でもいいし、最初は誰かに手続きをサポートしてもらえるとスムーズに留学生活が始まると思います。
項:私は日本に来てから日本語を勉強し始めましたので、最初は結構辛かったです。最初の学期は筑波大学の寮に住んでいたので、契約などはなかったで、早稲田キャンパスや所沢キャンパスにも寮があればいいなと思います。最初に日本に来るとき、さまざまな手続きをやらなければならなりません。自分の電話番号や銀行口座が必要なことが多いのですが、日本に来たばかりの留学生はそれがないので不便なところがあります。私は日本に来たときたまたまさほど困らなかったのですが、後輩たちと話したら「そういうことが確かにあって困ったね」と言っていました。
──日本に来て、意外だと感じたことは。
項:物価は思ったより高いと思いました。
コン:私は二回目なので、自分の中で慣れていて今はあまり思い出せないのですが、当時の感覚を思い出してみると、やはり紙の手続きが多かったのが記憶に残ります。また、店でクレジットカードがあまり使えなくて戸惑った経験があります。お店でクレジットカードを出したら、「使えません」ということがたくさんありました。私の中には現金文化というのがあまりなかったのですが、このような経験から、今は財布の中にいつもいくらかの現金を入れるようにしています。
──日本での生活に慣れた現在、帰省したりしたときに感じた自国と日本の差は。
項:研究のため中国へ帰省することも多くあります。今年も8月に中国に帰りました。日本では電車の中でもどこに行っても皆とても静かですが、中国では電車の中は皆うるさくて自分はこれに慣れていないと感じました。また日本は至る所きれいで、ゴミ箱がなくてもきれいです。中国はゴミ箱が多くあっても道にゴミを捨てます。それから、日本では皆誰でも礼儀正しいです。
コン:全体的な雰囲気がやはり違います。頂さんも言ってくださいましたが、日本の方は静かさを感じますし、韓国の方はダイナミックさがあるように感じます。
──卒業してからの予定は。
コン:今は修士課程1年ですが、博士課程まで進みたいと思っています。そのあとは教える仕事とか研究に関わる仕事をやりたいと思います。やりたい仕事であればどこの国でもいいと思っています。
項:学部生時代から先生になりたかったので、現在博士課程ですが、卒業したら中国に帰って大学の教員になりたいです。できれば中国と日本の大学間の交流を促進する仕事もしたいと思います。
──母国で留学を考えている人に、一言(早稲田大学の魅力など)。
コン:留学は本人にとっては結構難しい決断だと思います。他の国で他の言語で勉強することはかなりのエネルギーを必要とします。しかし、現地で現地のことを学ぶということはとても魅力的なことだと思います。特に早稲田大学は教育システムが整備されていて、しかも立派な先生方が多く、優秀な学生や留学生がいるので、いい留学生活を送れるのではないかと思います。
項:私の後輩には、日本に来る前に日本語と英語をしっかり勉強してくださいと言いたいです。日本語を勉強してからきた方がいいと思います。来たときに日本語がある程度が分からなかったら辛くて時間が無駄になります。日本語を勉強してから来た方が、もっとスムーズに生活ができます。あとは自分が何をやりたい、何を研究したいかについてきちんと考えた方がいいと思います。早稲田大学にはいろいろなチャンスがあるのでぜひ頑張ってチャンスを生かしてほしい。また、早稲田大学に来て驚いたのは大学の部活、サークルやイベントです。すごくいいと思います。他国の大学ではいろいろなサークルがありますが、皆はあまり参加しない。でも日本では特に早稲田大学では皆が学生生活を楽しみながら勉強していると感じます。