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キャンパスの骨格とネットワーク

3. マスタープラン -キャンパス内部の考え方 / Waseda Campus Master Plan 2023

  • #施設と風景

Mon 01 Apr 24

3. マスタープラン -キャンパス内部の考え方 / Waseda Campus Master Plan 2023

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Mon 01 Apr 24

キャンパス内部の秩序を作るのは、通りのつくるネットワークである。1997 年に策定された「歴史継承ゾーン」「新旧媒介ゾーン」「高機能化ゾーン」の3つからなるゾーニングは、建物が高層化した現在は実態に合わない部分がある。他方で、キャンパスを縦横に走る4つのモールは、1915 年の御即位御大典記念事業以来変わらず、キャンパスの骨格であり続けている。本計画では、この4つの通りを主軸として、ゾーニングを基礎とするマスタープランからストリート·ネット ワークを基礎とする計画へと重心を変えることを試みる。

整備方針:3つの層によるネットワークの計画

図 キャンパスをつなぐ3つのネットワーク

図 キャンパスをつなぐ3つのネットワーク

キャンパスには、上図に示す3つのネットワークを構築することで、柔軟な研究·教育環境を整える。

「キャンパス·モール」は地上を走る通りのネットワークであり、キャンパスの境界部に位置する大きな広場(キャンパス·バッファ)同士をつなぐ。このネットワークはキャンパス形成初期から継承される4本の通りによって構成された「井」型の明瞭なかたちをとっている。

「ラーニング·クラウド」は各教育· 研究棟に計画されるコラボラティブ· コモンズをつなぐネットワークである。コラボラティブ·コモンズは、前項で記した通りキャンパスの教室を学生·教員が利用できる空間に転用したものであり、キャンパスの屋外を歩いている限りはその全体像を認知することができない。そこで、電子上の予約システムにより、コラボラティブ·コモンズの全体像や利用状況が可視化され、クラウド上で繋がるネットワークを構築する。ラーニング·クラウドは情報空間上のネットワークである。

「カルチュラル·リゾーム」は地下に設置された学部図書館同士をつなぐ視覚的ネットワークで ある。現在、学部図書館はそれぞれの建物地下に設置されており、地上からはその存在は認知しづらい。中央図書館までを視野に入れ、地上からのアクティビティの視認性を高めることで、文化· 知識の軸を形成していくものである。

キャンパス・モールの維持
キャンパスバッファをつなぐ4つの通りの継承

図 キャンパス・モール

図 キャンパス・モール

キャンパスの地上を走る4つの通りを「キャンパス·モール」と呼称し、以下のように性格づける。

大隈モール
大隈記念講堂·大隈老侯像を貫くキャンパスを象徴する通りである。この通りに面した建物は統一の高さで軒高を設定し立面意匠の切り替えを行い、大隈記念講堂に向かってパースペクティブのある景観をつくる。

博物館モール
南門と演劇博物館および国際文学館(村上春樹ライブラリー)をつなぐ通りである。博物館の歴史的な景観に配慮するとともに、多くの学生が利用する南門からキャンパスを臨んだときの到着感(sense of arrival)を表現する景観をつくる。

北門モール
北門や中央図書館へとつながる通りである。この通りには高い軒高をもつ建物が面し、高木の並木道とベンチなどを配し、学生が滞在する街路景観をつくる。

西門モール
東西の商店街をつなぐ通りである。ほかの3つの通りが大学内の「まなび」に資するのに対して、西門ストリートは市民交流の軸としての役割を担う。

ラーニング・クラウドの整備
コラボラティブ・コモンズをつなぐ情報ネットワーク構築

図 ラーニング・クラウド

図 ラーニング・クラウド

教室を転用したコラボラティブ·コモンズはキャンパス全体に点在しているが、キャンパスの外からはそれらがどこにあるか把握できない。そこでオンラインの予約システムを用いて、コラボラティブ·コモンズの一覧と、それらがいつ利用可能かをいつでも確認できるようにする。クラウド上での学習環境の可視化·予約システムをここでは「ラーニング·クラウド」と総称する。

カルチュラル・リゾームの整備
図書館をつなぐ地下の軸の形成

図 カルチュラル・リゾーム

図 カルチュラル・リゾーム

9 号館建て替えとともに新設される「教育学部学生読書室」から中央図書館を結ぶ南北の軸を文化·知識の軸と定め、地下の活動を地上に可視化することで、これらを視覚的につなぐことを目指す。商学部·国際教養学部学生図書室や社会科学部学生読書室、さらにその付近の法学部学生読書室のアクティビティを地上からみえるように可視化していくことで、これまで学部によって隔てられていた知識へのアクセスを、より自由で活発なものとする。

地下の図書館同士をつなぐ際には、実際には地下通路などによって物理的につなぐのではなく、図書館のある地下への出入り口(各建物の一階に位置する)を中心として、建物外部からも視認できる読書ラウンジを設けることが効果的である。現状、図書館は地下に閉じこもるように計画されているが、読書ラウンジとして地上に顔を出すことによって、キャンパスの南北の軸には視覚的な連続性が生まれ、それぞれの学科図書館の存在感が感じられる通りの景観が創出される。

図 地下の図書館の出入口をつなぐカルチュラル・リゾームの模式図

図 地下の図書館の出入口をつなぐカルチュラル・リゾームの模式図

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