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淡路島で発見された化石はウミガメ祖先の頭骨 平山廉教授(国際学術院)らの調査で判明

2009年に兵庫県洲本市(淡路島)の地層で発見された化石が、ウミガメの祖先であるメソダーモケリスのほぼ完全な状態の頭骨であることが、国際学術院の平山廉教授と「兵庫県立 人と自然の博物館」(同県三田市)の調査で判明し、1月26日、日本古生物学会で発表されました。メソダーモケリスの詳しい生態は不明でしたが、顎の形状から何を食べていたのかなどの食性や、顎の筋肉の発達具合から噛む力が強いと推測されることなどが明らかになりました。

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図1:保存の良い頭骨が保存された第2標本。1999年に見つかった第1標本にも頭骨は残っていたが、不完全

図2;メソダーモケリスの頭骨(第2標本)を3方向から見たところ。

図2;メソダーモケリスの頭骨(第2標本)を3方向から見たところ。

発見された頭骨は、長さ16センチ、高さ7・6センチ、幅10・4センチで、体長は約70センチとみられるとのことです。2009年5月、兵庫県洲本市の和泉層群での化石採集会で、愛媛県西予市の男性会社員が骨の化石を含む岩石を発見し、2011年に「県立人と自然の博物館」に預けました。同博物館による岩石のクリーニングを経て、依頼を受けた平山教授が化石を分析しました。

平山教授の研究コラム

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国際学術院 平山廉教授

兵庫県の淡路島は化石の宝庫でもある。ここには今から約7千万年前の地層があり、これまでアンモナイトやウミガメ、モササウルス類といった海生動物の貴重な化石が数多く見つかっている。恐竜が生きていた中生代白亜紀という時代の最後の頃であり、実際にカモノハシ竜と呼ばれる恐竜の化石が見つかって大きな話題になったこともある。

今回は、メソダーモケリスという名前のウミガメの頭骨(とうこつ)が見つかったことに関して兵庫県三田市にある「兵庫県立人と自然の博物館」で記者会見を行った。この化石は、地元の化石愛好家である松本浩司さんと岸本眞五さんが2009年に見つけたもので、頭部をふくむほぼ全身骨格である。カメの化石はよく見つかるが、ほとんどが甲羅もしくは手足の一部であり、保存の良い頭骨の化石はきわめて稀である。 メソダーモケリスは、私が1996年に新種として発表したウミガメであるが、これまで北海道や香川県など日本国内の白亜紀の時代(約8千5百万年前から7千万年前)でしか見つかっていない。とはいえ、これまで100体ほどの化石が確認されており、日本の恐竜時代の海を代表する生き物と呼んでもさしつかえないほどである。 オサガメは現在絶滅の危機に瀕しているウミガメの1種であるが、深海に潜ってクラゲを主食にしながらカメ類最大の巨体(全長2メートル以上、体重900キロ!)に成長するなどきわめてユニークな生態を持っている。メソダーモケリスは、このオサガメの祖先に相当する動物であるが、これまで保存の良い頭骨は知られておらず、その食性など詳しい生態は不明であった。淡路島で松本さんらが見つけた化石は、岸本さんが自宅でハンマーやタガネを用いて石を少しずつ削ったところ見事な頭骨が岩の中から現れた。もはやこれ以上細かい箇所まで石から化石を掘り出すのは無理ということで、岸本さんは博物館に標本を預けたのが2011年11月。そして学芸員の三枝春生さんから私に研究依頼があり、標本を受け取ったのが昨年10月のことであった。それからメソダーモケリスの食性などについて多くの新知見が明らかになったので今回の発表に至った次第である。 メソダーモケリスの頭骨を子細に分析したところ、顎を動かす筋肉の発達が良いことが判明した。つまり物を噛(か)む力が強かったということである。おそらく貝殻やウニ、エビなどの甲殻類を丸ごと食べてしまうほどのパワーがあったと思われる。カメの口には歯がないのだが、口の形を見ると何を食べるのに向いていたか良く分かるようになっている。メソダーモケリスの口の中には上下に向き合うような形で突き出したリッジが発達していた。このリッジがぶつかり合うことで、食べた物を完全に粉砕することもできたようである。メソダーモケリスは噛む力が強いだけでなく、食べ物を細かく砕くこともできたので、様々な海に棲む動物を食べることができたらしい。現在のオサガメがクラゲ主体の極端な偏食であるのとはまったく対照的である。 どうやらオサガメは、何でも積極的に食べていた祖先から派生してクラゲを偏食するという奇妙な進化を遂げてしまったらしいのである。クラゲを食べる動物は他に見当たらないので、食物をめぐる競争を避けるためだったと思われるが、それにしても極端な変化である。ちなみに笹の葉しか食べないジャイアントパンダは、熊の仲間で祖先はやはり雑食であった。何でも食べていた祖先から偏食の動物が進化するという好例が新たに発見されたのではないかと考えられ、実に興味深いことである。今後は、兵庫の博物館でさらに骨格の細部を石から取り出す予定であるので大いに楽しみである。 兵庫県立人と自然の博物館

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