優れたジャーナリズム作品を発表した受賞者を顕彰しました
早稲田大学では2011年11月10日、第11回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」の贈呈式を行いました。鎌田薫総長の挨拶に続いて、大賞3名・奨励賞1名の受賞者に賞状とメダル・賞金を贈り、その成果を称えました。
第11回を迎えた今年の贈呈式には、受賞者と共に取材・報道に力を尽くした取材チームの方々をはじめ、メディア関係者、同大賞記念講座「報道が社会を変える―取材過程論―」の受講学生など、約130名が出席しました。選考委員である佐野眞一氏からは「3.11から日本のメディアはずっとおかしく、戦前の大本営発表のようだったのですが、今回の受賞作は日本のジャーナリズムがまだ死んでいないことを見事に証明してくれました。後世に長く刻まれるであろう『2011年の日本』を表わすに相応しい4作品だと思います。」と講評が述べられ、その後に続いた受賞者のスピーチにも、来場者は熱心に聴き入っていました。
贈呈式後のレセプションでは、出席者らが交流を深めました。第一線で活躍するジャーナリスト同士が意見を交換したり、学生たちが受賞者を質問攻めにしたりと、活気あふれる会となりました。

鎌田総長(前列中央)と受賞者、選考委員、副総長
受賞者のコメント
ETV特集「ネットワークで作る放射能汚染地図」取材班 代表 日本放送協会 制作局 文化・福祉番組部 チーフ・プロデューサー 増田秀樹 氏
「およそ千通の反響のなかで「悲惨なことをなぜ報道するのか」といった意見はひとつもありませんでした。何とかして現場に行って取材し、事実を伝えるという当たり前のことを、シンプルにやっていくことが重要なのだと改めて考えています。」
朝日新聞 大阪本社社会部・東京本社社会部 改ざん事件取材班 代表 板橋洋佳 氏
「現場の記者としては率直にうれしいと同時に、今回は幸運にも取材班のチームプレーで暴くことができましたが、それはひとつのファクトにすぎず、まだほかにもあるのではないか。埋もれた、新しいファクトを見つけていなかければならないという思いを本日、心に強く刻みました。」
琉球朝日放送 報道制作局 報道制作部 ディレクター 三上智恵 氏
「『英霊か犬死か』というタイトルには賛否両論ありましたが、名誉を傷つけるために使ったのではなく、戦没者の死を無駄にしないために必死に考えた結果、沖縄の私たちが出したひとつの結論です。これまでの歴史や背景を背負い直して学びつづけていくことが、私たちにできることだと思います。」
映画監督 鎌仲ひとみ 氏
「小さな映像プロダクションで作り、配給も上演も手作りで行いました。ボランティアのように、映画作りを支えてくれた方々や、カメラの前に厳しい現実をさらけ出してくれた方々に支えられて制作できました。受賞は祝島の方たちにご報告させていただきました。」
なお、贈呈式に合わせ、本賞記念講座の授業内容をまとめた書籍の最新刊『「対話」のジャーナリスト』(早稲田大学出版部)が発刊されまし た。