第2回の『研究室を訪ねて』は、古賀勝次郎教授(社会科学総合学術院)の研究室を訪問しました。
「普段はカーテンを開けていないのですが、今回は特別に開けちゃいました。」
──ありがとうございます。外から丸見えで少々照れますが、インタビューを始めさせていただきます。先生はこの研究室を普段どのように使われているんですか?
「家で勉強する先生と、大学で勉強する先生がいますが、僕は大学で勉強するタイプなので、朝9時に研究室に来て、18時半ぐらいまでいます。こうした生活を30歳で教員になってから65歳の今までずっと続けているんですよ。」
──コツコツと規則正しく研究されているんですね。
「あ、決して、妻がいるから家にいたくないとかそういうんじゃないんですよ(笑) 毎日課題が出てくるので、研究しなくてはいけないことがいつもあります。だから、研究室も汚くなってしまうんですね(笑)」
──こうした本はどこで買うんですか?
「これはね、神田の古本屋ですよ。」
──かなり分厚いですが、読みきるのにどれぐらいかかりましたか?
「1年くらいはかかりました。僕はこの35年間でハイエク、ヒューム、安井息軒の3人しか深く研究していないんですが、こうした中長期的な研究も、大学の先生が腰を据えてやっていかなくてはいけないんですね。3人とはいってもテーマ選びを間違わなければ、1つをやっていても、色んなことが見えてくるんです。そんな研究の広がりが楽しくて、毎朝9時に来てしまうんですね。」
──先生の研究のきっかけは何だったんでしょう?
「僕の学生時代は、ちょうど社会主義と自由主義の比較経済体制論が注目を浴びていた時期で、それが当時重要な問題でした。そこから新自由主義を唱えたハイエクを研究しようと始めたんです。つまり大学ではこうした流行を追わなくてはいけない面もある。大学の研究は『不易流行』なんです。」
「僕は、時代の要請に合った学問と、古典を読みながら歴史的背景に迫る学問と、両方を学ぶことができ、幸せな研究生活を送って来れたと思っています。」
──最後に、学生のみなさんに一言お願いします。
「僕もそうですが、大学時代に持った問題意識が続いている。若いときにしっかり問題意識を持って、世の中で溢れている問題を解決できるような人間になって欲しいですね。」
今月の早稲田川柳
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