スマトラ南部地震津波の被害状況などが判明 合同調査隊(隊長:柴山知也教授)の現地調査で

スマトラ南部地震津波の被害状況などが判明
合同調査隊(隊長:柴山知也教授)の現地調査で

2010/12/09

早稲田大学理工学術院の海岸環境・防災研究室(柴山知也研究室)は、10月25日に発生したスマトラ南部地震津波の災害調査のため、柴山知也教授を隊長とする「早大・横国大・バンドン工大合同津波調査隊」を11月16日~23日の日程で派遣し、メンタワイ(Mentawai)諸島のシポラ(Sipora)島で津波被災の実態を調査いたしました。その結果、沿岸の低湿地に位置する村落で、海側のマングローブの生えた湿地帯あるいは小河川を通して津波が村内に侵入し大きな被害をもたらしたことが判明しましたので、下記の通り調査結果の概要を報告いたします。

 

調査結果概要

津波の被害は沿岸部の低湿地に作られた村で発生しており、今後の対策としては近隣の比較的地盤の高い土地に移転することが効果的であり、その旨を現地地方政府に提言しました。ゴビック旧地区(Old Govic)では、10人の方が亡くなりました。海岸付近での津波高さは5.7mで、村内の建物はほとんどすべて破壊され、流されました。村内での津波高さは概ね海岸から順に3.6m、3.4m、2.5mに分布しています。建物の破壊の状況から、かなりの運動量を持って津波が来襲したと推測されます。この村は低湿地の中にあり、津波は海側のマングローブの生えたSwamp(現地語ではRawa)様の地形から侵入しました。村の背後も低湿地で、沿岸道路以外の道がないため、住民は高地への逃げ道を失い多くの犠牲者を出しました。マソコット(Masokoet)では村の沿岸域北側の砂丘の切れ目と南側の川の二方向から村内に津波が流入し8人の方が亡くなくなりました。村の海に近い部分での津波高さは7.2m、内陸に向かって5.9m、5.0m、4.6m、2.4mなどの津波高さを計測しました。南側で一軒のみ残され、住民も助かった家は地盤高さが3.25mと、周囲よりも少し高いことが幸いしたと思われます。ベレ-ベリロウ(Bere-Berilou)では5人の方が亡くなり、沿岸部の70件程度の家が壊れました。被害は海岸に近い部分で起こりましたが、村の沿岸部から奥に向かって下り勾配の低地が続くため、最大遡上距離は300m程度になりました。海岸近くで津波高さは3.2m、その後、2.6m、1.3m、0.35mと低い浸水が村落の広範囲に広がりました。

※ 津波高さはいずれも潮位補正後の値

 

調査隊メンバー

柴山知也教授(早稲田大学理工学術院)隊長
佐々木淳教授(横浜国立大学工学研究院)
鈴木崇之准教授(横浜国立大学工学研究院)
Miguel Esteban講師(早稲田大学理工学術院)
Hendra Achiari講師(バンドン工科大学)
Teguh Widodo研究員(バンドン工科大学)
三上貴仁(早稲田大学創造理工学研究科修士課程)
大平幸一郎(早稲田大学創造理工学研究科修士課程)

 

活動状況

11/16 インドネシア着
11/18-11/21 Sipora島周辺において津波被害調査(Govic、Boswa、Masokoet、Bere-Berilou)
11/23 帰国

 

研究室サイト

http://www.f.waseda.jp/shibayama/

 

 

以 上

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