尊敬する白井克彦総長、
早稲田大学の教職員、新入生、ご列席の皆様:
こんにちは!
本日、早稲田大学において白井総長から名誉博士号を頂き、誠にありがとうございました。この光栄は私個人の栄誉であるのみならず、北京大学の教職員と学生の代表として頂いたものであり、北京大学と早稲田大学両校の友好交流の歴史と今後のさらなる発展への証でもあります。早稲田大学は日本のもっとも有名な私立大学であり、多数の傑出した政治家、企業家、学術指導者を育成し、世界においても高い名声を博しています。特に中国共産党早期の指導者、陳独秀、李大釗、澎湃といった人物が早稲田大学に留学していました。彼らは帰国後、現代中国の歴史に大きな影響を与えました。
本日、私は北京大学の校長として早稲田大学の名誉博士を授与され、早稲田の一員となれたことを大変光栄に思います。この機会をいかして、早稲田大学の皆様に対して、早稲田大学と北京大学の交流の歴史と将来への展望を紹介させていただきたいと思います。20世紀初期、大勢の中国人が日本に留学しました。当時すでに日本は東アジア近代化過程において最も発展が早い国であり、中国に大きな影響を与えました。早稲田大学は「百年樹人」という言葉の通り、中国の若者を育成するため「清国留学生部」を設立し、多くの中国人留学生を受け入れました。その中には先ほど申し上げました中国共産党創立者の陳独秀と李大釗がおりまして、二人は帰国後北京大学の教鞭を取り、それぞれ北京大学の文科学長と図書館長になりました。その後二人は中国の五四運動を指導し、北京大学の発展だけでなく、中国の近代化にも大きな役割を果たしました。それから半世紀が経ち、1982年、北京大学は早稲田大学と正式な学術交流協定を締結しました。これは1949年に新中国が設立してから、早稲田大学が中国の大学と結んだ最初の正式な友好交流協定です。それ以来、両校では留学生交換や学術交流などのプロジェクトを盛んに展開してきています。
現在、両校の交流と協力はかつてないほどに深くなっています。2003年には「北京大学・早稲田大学共同教育研究運営機構」を設立しました。この運営機構により、さまざまな学術領域において研究教育の一層の協力が推進され、多くの学術成果と経験を共有することができました。2005年には両校の学部生がお互いの大学で学びあい、学位を取得するというダブルディグリープログラムを開始しました。このプログラムでは学生が正真正銘の異文化を学び、それによってグローバルな視野を身につけることができます。このため、このプログラムは学生たちの大変な人気となっています。また、北京大学と早稲田大学は、故宮博物館の宝物のデジタルアーカイブ化と産学連携の研究も行いました。2007年には、早稲田大学に世界初の研究型「孔子学院」が設立されました。2008年に両校は「持続可能な発展学に関する共同大学院の設立についての合意書」に調印しました。地球における環境、資源、地域格差、価値観の相違などの問題解決を目指し、両校の交流は一流大学同士の協力関係としての新しい段階を迎えています。
皆様。
以上のような実例を紹介しましたように、日本において早稲田大学が北京大学のもっとも重要な協力パートナーであることは明らかです。我々は早稲田大学との協力と友情を重視しており、これらを基礎として、さらに両校の関係を深めることができるよう望んでおります。
2008年5月に胡錦濤中国国家主席が訪日した際、早稲田大学において重要な講演を行ったことにより、中日関係は低迷期を脱却して、雪解けの春の季節を迎えました。同様に、福田康夫日本国首相も訪中の際に北京大学で講演を行いました。両国の指導者は我々に熱い期待を寄せています。今後、両校は中日両国の友好関係の発展のために更なる貢献を果たしていかなければなりません。
若者は国の未来、国の希望であります。一流大学である北京大学、早稲田大学はそれぞれの国の最も優秀な学生が集まっている大学であり、両国の優秀な若者が集い、ともに学ぶための多くの機会を作り出します。さまざまな領域の研究者たちも多方面で協力と研究を行い、人類社会が直面している難題に挑戦します。両校は、両国の若者の固定観念を取り除き、真の相互理解に基づく厚い友情を育むことに努力します。
北京大学と早稲田大学は親密な協力関係を持ち、両校の知識、人材を充分に活用しながらアジア太平洋地域において人材育成を推進します。胡錦濤中国国家主席と福田康夫日本国首相が調印した『中日共同声明』において宣言された「中日の戦略的互恵関係の全面的な推進」を実現するために貢献していきます。
皆様。
私は、日本に出発する前、北京大学の「早大桜」を見に行きました。2005年12月26日、北京大学において「早稲田大学デー」を実施した時、早稲田大学からいただいた貴重なプレゼントです。桜がすくすく成長し、見事にきれいな花を咲かせるのは両校の友情の象徴でもあります。私は、両校の教育交流に大きく貢献してこられた北京大学と早稲田大学の歴代の校長や総長に深く感謝いたします。同時に私は、両校の輝く未来のために奮闘努力いたします。
最後に、早稲田大学から授与された栄誉と、教職員、学生の皆さんがこれまで中日関係における学術交流、文化交流に果たしてきた努力に対し、今一度心より感謝いたします。
皆様、我々の友情が永遠に続くことを祈っております。
ご清聴ありがとうございました。
2010年 4月 1日