SPECIAL INTERVIEW 中野友加里さん

中野友加里さん

YUKARI
NAKANO

大学院で磨かれた、物事を追求する力

華麗なる“ドーナツスピン”で世界中を魅了し、国内外の大会で多くの戦績を残した元フィギュアスケート選手の中野友加里さん。競技生活の傍らで早稲田大学人間科学部通信教育課程(eスクール)に通い、2008年には早稲田大学大学院人間科学研究科へと進学している。学業との両立は、ある助言がきっかけだった。

写真提供:アスリート・マーケティング株式会社

『手に職をつけなければ、将来困った時に働くことができなくなる』。母親のこの言葉を受け、早稲田では必ず一つ資格を取得することを決めていました。教員免許の取得※を目標に、海外遠征の多い競技でも両立できるという理由で人間科学部通信教育課程を選択しました」

学部卒業後、大学院に進学。アスリートとして絶頂期を迎える中での大学院進学は、当時のフィギュア界では稀なキャリアであった。
「スケートだけでは人生の視野が広がらないと感じ、専攻していた教育心理学をより深めようと、大学院進学を決意。幅広い分野の講義を受けながら、修士論文の作成に取り組みました」

研究テーマは、“教育が競技者にどのような影響を与えるか”。自分自身を実験台に、フィギュアスケート選手がクラシックバレエを学習することの教育効果を分析した。
「仮説を立て、データを正確に取得・分析し、ロジカルに文章を組み立て、他者に成果を発表する。論文作成における一連のプロセスは、一つのことを徹底的に追求する大切さを教えてくれました。学部と比べ、大学院では求められる研究量も格段に増えます。過渡期は競技よりも研究に時間を割いていたほどです」

大学院の修了とともに現役を引退し、フジテレビジョンに入社した中野さん。幼い頃から憧れていたテレビ番組制作の現場に立ち、メディアの側からスポーツ界に貢献した。第二子の出産を機に退社した現在も、育児と並行してフィギュアスケートの審判員のキャリアを積むことに励んでいる。
「何事も諦めない忍耐力は、競技生活よりも、むしろ大学院で身に付いたのかもしれません。周囲の友人と研究内容を指摘し合う。真実を見極めるために、緻密に分析を重ねていく。先生の厳しい指導から自己を成長させていく。そうした経験があったからこそ、社会に出ても前向きになれるんです」

母親の助言を胸に歩んできた中野さん。現在の学生に向けてどのようなメッセージを贈るのだろうか。
「不安定な社会状況の中、思うように将来を描けない学生さんは多いと思います。そんな時、もし学ぶことが好きならば大学院への進学を視野に入れてみてください。2年間研究に没頭すると、学部時代とは全く違った景色が見えるはずです。それは必ず、将来の強い味方になるでしょう」

PROFILE

写真提供:アスリート・マーケティング株式会社

1985年愛知県生まれ。2008年早稲田大学人間科学部通信教育課程(eスクール)卒業、2010年早稲田大学大学院人間科学研究科修士課程修了。3歳でフィギュアスケートと出会い、その後選手として活躍。主な成績は、2005年NHK杯優勝、2007年アジア冬季競技大会優勝、2008年世界選手権4位など。2010年に引退し、株式会社フジテレビジョンに入社。2019年に退社後、現在は講演活動などに従事。


※eスクールでは現在、教員免許の取得を含め、各種資格は取得できません。

 

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