2013年度9月入学式 鎌田総長の式辞

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。 本日、ここに2013年度9月入学式を挙行するにあたり、新入生の皆様ならびにご列席いただきましたご家族、ご関係の皆様に対し、早稲田大学を代表いたしまして、心よりのお祝いと歓迎のご挨拶を申し上げます。

本日、晴れて早稲田大学に入学されたのは、学部生283名、大学院生560名の合計843名で、このうち海外からの学生は688名に上ります。世界のあらゆる地域から多くの前途ある人材をお迎えできたことは、本学にとりまして、この上ない慶びであります。

さて、本学は、いまから131年前、明治15年(1882年)に、この早稲田の地に創設されました。 当時の日本は、欧米の近代的な社会制度と科学技術を輸入して、一日も早く欧米に追いつこうとしていました。そのために、当時の大学は、官僚を養成するために、欧米の制度をそのまま学びとることを主な目的としていました。 これに対し、本学の創立者である大隈重信や小野梓らは、これとは異なる理念をもって本学を創設いたしました。 すなわち、第1に、真の近代国家を作り上げるためには、単に欧米の制度を直輸入して、一握りの官僚が国を支配するのでは不十分であり、市民の一人ひとりが、自立した精神と豊かな教養を身に付け、一国の利益よりも人類全体の利益のために力を尽くそうとする高潔な人格を備えることが重要であり、そのためには自由で独創的な学問と個性を尊重した高等教育が必要であるということです。 第2に、日本や東洋の文明は遅れているから、できるだけ早く東洋文明から脱して欧米化するようにしなければいけないという当時の風潮に対して、東洋文明と西洋文明のそれぞれの長所を認め合って、両者の調和を図らなければならない。そのためにも、学問の独立、学問の活用、そして、広く世界に活動する優れた市民の養成、の3つが必要だと考えたのです。 このようにして、「学問の独立」と「東西文明の調和」の理念の下に設立された本学には、全国各地から、またアジアを中心とする世界各地から、個性豊かで進取の精神にあふれた多様な若者が集まり、政治・経済・科学技術・ジャーナリスム・文学など極めて幅広い分野に多彩な人材を送り出して参りました。 古くは、1895年に本学を卒業して、日本人としてはじめてイェール大学教授に就任し、日米開戦の回避のために最後まで努力をした朝河貫一、1896年に本学を卒業して、コロンビア大学に日本文化研究所を設立し、本学名誉博士ドナルド・キーンをはじめとする多くの日本研究者を育てた角田柳作などがいます。 また、中国共産党の創立者である李大釗、陳独秀なども早稲田大学で学んでいます。 そして、戦後には、本日、ご来賓としてお招きした三菱商事(株)元取締役社長・会長の佐々木幹夫さまをはじめとして、本学の建学の理念を体現した多くの誇るべき卒業生が世界を股にかけて活躍されています。 こうした多くの優れた卒業生の皆さまのご支援も得ながら、早稲田大学は、世界に開かれた大学として発展を続けて参りました。この9月入学式もその象徴と言って過言ではありません。近年、日本の大学の国際化を促進するために9月入学制度を導入すべきであるという声が強くなっていますが、早稲田大学では1998年から4月入学と並行して9月入学を実施してきました。そして、2004年から9月入学式を挙行することとし、本日の9月入学式が第10回目となります。 現在では、6学部11研究科で英語のみで学位を取れるプログラムが運用されていることなども相まって、約4500人の外国人学生が早稲田大学で学んでおり、日本で最も国際化の進んだ大学となっています。 昨年11月には、新たな中長期計画“Waseda Vision 150”を策定し、アジアのリーディング・ユニヴァーシティとして世界に貢献する大学であり続けることを目指して、教育・研究・社会連携など幅広い分野でさらなる改革を続けていくことを宣言いたしました。

130922_address2本日、入学式を迎えられた新入生の皆さまには、早稲田大学の長い伝統の中で蓄積された学問的・文化的資産と優れた教育・研究環境を最大限活用し、それぞれの目指すところに向かって着実に前進されるとともに、本学の建学の理念に象徴される理想を実現するための長い道のりを共に歩んでいく親友やライバルを見つけ出してくださるよう、切に希望いたします。 早稲田大学の教室で、サークル活動等を通じて、また学生寮での生活において、日本人学生と外国人学生が緊密に交流し、議論を重ねることで、さまざまな文化的背景を持ち、異なる価値観をもった人々が相互の理解を深め、自らの学識と人格を磨いていくことで、世界の平和と人類の幸福の実現に一歩一歩近づいていけるものと確信しています。

新入生の皆さまのこれからの大学生活が実り多いものになることを心から願って、お祝いと歓迎の挨拶とさせていただきます。 皆さん、本日は誠におめでとうございます。

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