第7回 主要50ヵ国「電子政府世界ランキング2011」発表

第7回 主要50ヵ国「電子政府世界ランキング2011」発表
日本の電子政府は6位

2011/01/25

APEC電子政府研究センターを兼務する早稲田大学電子政府・自治体研究所(所長:小尾敏夫教授)は7回目の「早稲田大学電子政府世界ランキング2011」の調査・研究の結果を公表することになりました。今年は電子政府が進捗している国・地域を昨年の40から50に対象を拡大しました。7年間の継続的な調査の結果、今回は下記のような特徴をまとめることができます。

まず、今回の特徴をキーワードで表わすと「イノベーション」「オープン・ガバメント」「市民参加」「サイバー・セキュリティ」「新興国」「モバイル政府」「クラウド・コンピューティング」です。次世代ネットワークなどブロードバンド及びスマートフォンをはじめモバイルの急速な進化も特色です。同時にSNS、ブログ、Facebook等のソーシャル・メディアなどウェブ2.0(あるいはガバメント2.0)、新技術・アプリケーション活用が市民の行政参加を促進させる有効な双方向手段になりました。多くの国・地域が深刻化するサイバー安全保障対策などe-ガバナンス(統治能力)強化とともに、中央政府と地方自冶体の密接な連携が模索されています。また、国民の利便性を重視した“いつでもどこでも”利用可能なユビキタス型、ワンストップ型のオンライン・サービスの充実がフロントオフィス分野の優先課題になっています。その点、新興国の場合、経済繁栄の恩恵がまだ電子行政の成熟レベルに寄与していないのが現状です。

今回調査からの世界の電子政府の特徴は9項目に集約

電子政府の進捗度は先進国が一般的には先行していますが、IT分野は今回もトップをシンガポールと米国が小差で競ったのが出色です。調査分析指標も7分野31項目においてより正確な評価に徹しました。今回は総合的な結果として下記のような特徴をまとめることができます。
1. 市民中心の電子行政参加
2. サイバー・セキュリティが重要課題に
3. 中央政府と地方自冶体間の協調の強化
4. 防災、危機管理、グリーン・イノベーション、高齢化
5. 新興国の台頭
6. 深まるデジタル格差
7. CIO(最高情報統括責任者)の役割拡大
8. モバイル政府の実現性
9. クラウド型イノベーション

“日本は6位を死守だが、新視点の総合電子行政のグランドデザインが必要”

日本は今回前年と同様6位を死守できました。主な理由としては、プラス面では、将来への振興策として、他国に先駆けて光ファイバー敷設による大容量の情報流通が可能になる点が特記できます。逆に、一昨年9月に歴史的な政権交代があり、事業仕分けを受けてIT施策の位置付けが不透明になった点と、府省の電子申請の低利活用率の事業の見直しが行われ、実績内容の再点検の必要が問われた、などが挙げられます。

同時に、日本政府の課題は、電子行政の効率化の実現によって遅延気味の行財政改革のスピードアップを計ることです。さらに、少子高齢化社会の到来と複合して人口減少時代での経済社会の大変容が目前に迫っています。その点、財政破綻を未然に防ぐ大胆な行政改革並びに老齢人口が急増する人口成熟化対策などを融合して、中央と地方の連携による国民利用者側の視点で総合電子行政のグランドデザインを描かなければなりません。

早稲田大学電子政府・自治体研究所のスタッフと大学院国際情報通信研究科およびアジア太平洋研究科の研究チームが中心となり各国の関係者への聞き取り調査を行ったほか、昨年5月の国際会議の開催、国際CIO学会(会長校)、各国の提携大学や公共機関との協力をはじめ国連、ITU、APEC、OECD、世界銀行、世界経済フォーラム等との国際会合も行いました。特にOECDとは4回にわたって会合を持ちました。

早稲田大学電子政府・自治体研究所は、APEC(アジア・太平洋経済協力会議)電子政府研究センターを兼務しており、APECと連携して、2004年より“e-APEC”の先導的活動の一環として、加盟国(地域)対象の電子行政活動の評価研究をおこなっています。加えて、電子政府が情報社会をリードする経済成長のツールとして、持続的経済発展に直接的に寄与することは広く理解されるにいたっています。電子政府研究を通して世界的なイノベーション潮流を分析・評価し続け、安心、安全な国民生活を強く支援するだけでなく、行財政改革の要として行政コストの削減、スリム化や国際競争力強化に貢献しています。

本研究調査は政府のウェブサイトとIT展開の進捗度だけではなく、戦略、インフラ、行財政改革、CIO人材育成、さらに政府と民間(e-コミュニティ)の関係も調査分析しています。この進捗度研究調査が、世界中の政府、国際機関、ビジネス社会、及びアカデミックな世界に対し、電子政府の現状、課題、問題点解決、そして将来の発展に貢献すると確信しています。調査概要など詳細は下記WEBサイトを御参照下さい。

お問い合わせ先

早稲田大学電子政府・自治体研究所
e-Mail:[email protected]
Webサイト(日本語):http://www.kikou.waseda.ac.jp/index.php

2011年度の早稲田大学電子政府世界ランキングトップ10

順位 総合ランキング
1 シンガポール
2 米国
3 スウェーデン
4 韓国
5 フィンランド
6 日本
7 カナダ
8 エストニア
9 ベルギー
10 英国
10 デンマーク

 

 

以 上

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