2018年度卒業設計 保坂賞受賞作品
科学の発展により、人間は社会を快適に変化させてきたが、現代社会のそれは過剰なようにも思える。エスカレーターの出現は、人の移動を効率化し、楽にさせた一方、身体感覚の認識を衰えさせた。 現状の問題として「身体感覚知」をテーマに掲げ建築による解決を目指す。身体感覚の認識を促す方法として『階段』に焦点を当てる。階段の蹴上や踏面の変化、屋内外といった場所の変化で、利用者に認識の差異を感じさせ、多様な利用を促す階段空間を展開する。
敷地は東京、御茶ノ水。約15mの高低差があり、男坂と女坂という階段がある高さ方向の変化が豊かな敷地。周辺は会社や学校が多く、現状はサラリーマンや学生が利用する抜け道である。用途は、学生(大学生、浪人生)のための学生寮・集合住宅。上述したように「身体感覚知」がテーマの実験的集合住宅となるだろう。他大学生同士、学生と地域住民といった普段ならあまり出会わないようなコミュニティの形成を促し、ただの抜け道を人が行き交う豊かな空間へと変貌させたい。若い年齢の学生がこの集合住宅で過ごすことで己の身体感覚を認識し、今後の人生で少しでも多く身体感覚を意識する機会を増やす。
[敷地]東京都千代田区御茶ノ水
[用途]学生寮 etc