2017年度卒業設計 保坂賞受賞作品
敷地周辺は、関東大震災の被害が少なく、美術の中心であった上野へのアクセスの良さから画家などの文化人が多く移り住み、アトリエ村と評されていた。しかし、美術館の移転に伴い、 アトリエ村は細分化され、都市としての魅力が失われた。
本計画は、埼玉の中心に位置する別所沼公園の隣地境界沿いに建てられる、アトリエ村の復興を目指した美術館兼アーティストレジデンスである。
敷地は緑あふれる公園と閑静な住宅街の境界線上にある、活用されていない約8mの高低差を持つ斜面地であり、この8mの高低差をどのようにデザインへと取り入れ、分断された都市と自然を結びつけるかが大きなテーマとなった。
そこで、8mの都市レベルから大きくスラブをはね出した。この空間は、都市側から捉えると木々と触れ合う新たな人工地盤であり、公園から捉えると様々な活動が可能な深い庇空間である。 さらに、0mの自然レベルから足元に変化を与えた。公園から半径500mの範囲の足元を緑化ブロックに変えることで、周辺の住環境を改善し、緑を広げる。
都市レベルと自然レベル両者からアプローチをかけることで、両者が波の満ち引きのように溶け合い繋がることを期待する。
[敷地]埼玉県さいたま市
[用途]美術館 集合住宅