2017年度卒業設計 校長賞・赤坂賞受賞作品
本計画では、長崎県島原半島、雲仙普賢岳の火砕流跡地に、国によって統一された初の研究機関として、国立火山研究所の設立を提案する。
今、世界は地殻変動の時代に突入したと言われている。いつ何時、どの火山が噴火するか、前もって予測することは困難であるため、火山噴火の被害を最小限に抑えるためには、火山の常時監視体制を整えなければならない。しかし、現在、日本の火山噴火防災対策は、国際的に遅れをとっており、研究者不足や、研究分野重複等によって、甚大な火山被害を招いている。再三火山災害を経験してきた日本の人々が、火山と共に生きてきたかつての記憶を取り戻し、火山の恩恵と災害と再び向き合うために、地域へ開かれた火山研究施設を目指して設計を行った。
W-unitのフォルムデザインテーマである、概念の視覚化を造形テーマとした。人々が作り上げてきた社会としての円という〈幾何学〉と、それを破壊する、火砕流跡の谷の〈自然軸〉という構図の造形によって、人々が火山噴火による破壊の未来を認識し、正対することを願う。
[敷地]長崎県島原市
[用途]火山研究複合施設