2016年度卒業設計
東京都文京区本郷4丁目と呼ばれる地域は本郷台地の縁にあり、かつては海岸線であった。江戸時代には町場の職人が多く住み、明治以降は多くの作家がこの場所に暮らした。関東大震災、東京大空襲、高度経済成長期~バブル期の土地開発などが続いたにも関わらず、未だに大正時代に建てられた建物群が残る一角がある。
この不思議な空間はなぜ残っているのか。この場所に暮らしてみると、表面からは見えなかった職人たちのネットワークがあることがわかった。近所の職人に手入れをしてもらいながら、同じ家を住み継ぐという流れが、細々とではあるが残っている。この流れを活性化し、この場所を維持するには何が必要か考えた時、能動的に場所の維持に尽力する人と、その場所から力を得て活性化する人の双方が必要と考えた。
「守る人=職人たち」と「活性化する人=作家たち」の居場所を計画する。職人たちは既存の建築物を改築しながら、町の関わりを深め、作家たちは、職人が造る空間で創作活動に打ち込むことができる。計画の一部は実際に購入し、大工である夫とともに改築を行った。
[敷地]東京都文京区本郷
[主要用途]住居+アトリエ+土場+加工場+事務所+カフェなど