2019年度卒業設計 保坂賞受賞作品
将来的にも首都高の地下化が予定されていない地域において、既存の道= 首都高の立体的なネットワークに加わるように、地域の複数のオープンスペースを結び、海運を中心とした交通の発着点としても機能する新たな道を設計する計画である。新設される道は、小網町公園を目として立体的に分岐、合流を繰り返し、大きな八の字を描く。道はそれぞれの周辺環境に呼応しつつ既存の道を引き立てるような弱い存在として現れる。部分的に首都高の小梁の両側面から構造を取っており、この方法によって導かれたダブルコラムが全体に浸透し、首都高の長い曲線にリズムを重ねる。一方で、高覧部材を色のついたアクリルとすることで、曲線のシルエット自体を強調し、人の流れを可視化した。線形、あるいは立体交差する有様は首都高自身を参照した。自動車のためである道を写し取り、人間のための環境として再解釈し、現像=processing する。この過程を経て新設される道は既存の道の見え方を変え、地域の人に首都高の存在を再認識させる。