Research Theme 研究テーマ
企業内データ、HRサービス事業者データを用いた組織経済学、人事経済学、行動経済学分野における実証研究
Research Director 所長
Member メンバー
- 伊藤 秀史 商学学術院大学院経営管理研究科教授
- 大西 宏一郎 教育・総合科学学術院教育学部教授
- 大湾 秀雄 政治経済学術院政治経済学部教授
- 川太 悠史 政治経済学術院政治経済学部助手
- 黒田 祥子 教育・総合科学学術院教育学部教授
- 佐藤 豪竜 総合研究機構客員次席研究員(研究院客員講師)
- 相澤 俊明 北海道大学経済学研究院准教授
- 朝井 友紀子 シカゴ大学ハリス公共政策大学院ポストドクトラルフェロー
- 明日山 陽子 独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所研究員
- 内田 彬浩 立教大学大学院ビジネスデザイン研究科助教
- 恩田 正行 福岡大学経済学部准教授
- 北川 梨津 コロンビア大学経済学部・ビジネススクール博士課程
- 佐藤 香織 明治大学商学部准教授
- SHANGGUAN, Ruo Assistant Professor, School of Economics, Jinan University
- 武田 邦敬 クニラボ代表(個人事業主)
- 樋口 綾
- 山田 隆史 スターツリー株式会社代表取締役、一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会副代表理事
研究キーワード
生産性、人的資本、管理職、リスキリング、男女格差、人材育成、評価、働き方改革メンタルヘルス、イノベーション
研究概要
企業の生産性には大きな格差があり、その原因として、経営施策の違い、労働の質の違い、組織構造の違い、経営者の資質の違いなどが挙げられてきた。こうした企業内に見られる異質性がなぜ存在するか明らかにするために、企業内データを活用した実証研究の重要性は近年高まっている。ただし、先行研究は、企業内施策の効果を事後的に評価するというものが多く、研究者が経営陣と共にアクティブに介入していくケースは少なかった。それでは、企業が新しい施策を導入するまでその企業の効率性を判断する機会は現れないし、施策を導入する企業としない企業の異質性がある限り、一つの企業で明らかになったことがどの程度他企業にも一般化出来る普遍性を持つものなのかという外的妥当性欠如の批判を免れることは出来なかった。
現在企業の中に蓄積されているデータは、10年前と比べて大きく変わってきている。従業員や経営者の意思決定プロセス、コミュニケーション、非認知能力の評価などの情報が蓄積される中、個人レベルで人間の行動原理や選別過程を観測する機会が生まれつつある。事後的に施策の効果を見るのではなく、現時点でどのような非効率あるいは改善機会が生じているかを推察し、必要な施策を提案することで、より正しく施策の効果を計測する機会を研究者自身が作っていくことを一つの研究のスタイルとして提示することを目指して、本研究所を設立する。こうした活動を通じて、生産性格差の源泉についての解明も進むであろう。
上記を目的として、本研究所の中に、企業にデータ活用の方法を教示し、改善機会を共に議論する探索的な機能と、実際に企業内データの提供を受け学術的な研究を行う分析遂行機能を併せて備える。研究代表者が東京大学社会科学研究所在籍中に開始した人事情報活用研究会では、数年前からデータ活用に関心のある企業との関係構築に取り組んできた。こうした企業の中に入り込んで、研究課題を共に発掘し、そのテーマに即したデータの取得と利用を目指すのが本研究所の特徴である。そのテーマの範囲は、採用、男女格差、人材育成、評価、働き方改革、メンタルヘルス、健康増進施策、中間管理職の役割と生産性、組織内イノベーション、など人事と組織の経済学の範囲を超えて多岐にわたる。
また理論の構築も重要な課題であると考えており、理論家と実証研究の接点となるような発表機会も積極的に作って行きたい。企業との交流、理論構築、実証研究を一つの研究所の中に包含することにより、これまでデータの制約から明らかに出来なかったメカニズムの解明や、因果関係の特定に困難が伴った施策の効果測定を可能にする新しい手法を開発することを目指していきたい。