2023年11月30日および12月1日に早稲田大学にて当センター講師の望月 泰博先生による、仙台青陵中等教育学校の生徒を対象にした模擬講義「データ科学の重要性」を実施しました。
仙台青陵中等教育学校から来訪した生徒は第4学年(高校1年相当)の約60名で、当日は入学センターによる大学説明や模擬講義、キャンパスツアーに参加しました。
模擬講義は「データ科学の重要性」のタイトルで、冒頭でデータサイエンス・AIとはそもそも何なのか、そして、昨今なぜこれほど注目を浴びているのかについて、ビックデータの存在やそれを解析する技術の革新、それらを応用できる分野の拡大といった背景の説明がありました。また、科学におけるパラダイムシフトにおいて、今まさにデータ科学が第4のパラダイムになっているとの説明がありました。
そして、早稲田大学データ科学センターでは、データサイエンスを“データから合理的で明確な意思決定や論証を導くための学問”と定義しているとの説明がありました。
続いて、データサイエンス・AIの重要性を理解してもらうために、その活用事例として、Netflixや自動運転、医療などでの事例紹介があり、政策では、Evidence Based Policy Making(証拠に基づく政策立案)が近年注目されているが、それと同じことを大隈重信が1881年に「建議統計院設置ノ件」で述べており、実はデータ科学と早稲田大学は関係性が深いといったエピソードの紹介もありました。
中盤では、データサイエンスによる意思決定の具体例ということで、Webアンケートデータや広告の費用対効果に関する解析方法の紹介がありました。そして、統計的因果推論の考え方に触れながら、いくつかの事例を用いて、データサイエンスやAIは、分析者自身が適切な専門知識、背景知識を用いて、データ解析の方法と結果を検証する必要があることの説明がありました。
最後に、望月先生の専門分野である脳科学とChatGPTの関係性に触れ、機械学習で用いられるニューラルネットワークは、そもそも人間の脳の神経回路の構造をイメージして開発された経緯があるが、最新の脳研究では、ニューラルネットワークの処理結果をもとに脳の働きを理解しようとする取り組みがなされているという話がありました。
受講した生徒たちも、双方向のコミュニケーションを交えた、フランクでウィットに富んだ望月先生の講義に興味と関心を持って参加していました。