2023年8月8日に早稲田大学にて当センター准教授の堀井 俊佑先生による、膳所高校の生徒を対象にした模擬講義「データ科学の重要性」を実施しました。
膳所高校から来訪した生徒は引率教員含めて約40名で、当日は入学センターによる大学説明や模擬講義、キャンパスツアーに参加しました。
模擬講義は「データ科学の重要性」のタイトルで、冒頭に最近のAIの実例ということで、話題となっている生成AIのStable DiffusionやChatGPTの紹介がありました。そして、今、なぜデータサイエンスやAIが注目を浴びているのかについて、技術革新や社会を取り巻く状況といったその背景の説明があり、その中で早稲田大学が考えるデータサイエンスの定義=“データから合理的で明確な意思決定や論証を導くための学問”の話がありました。
続いて、データサイエンス・AIの重要性を理解してもらうために、その活用事例として、Netflixや自動運転、医療、マーケティング、スポーツなどでの事例紹介があり、政策では、Evidence Based Policy Making(証拠に基づく政策立案)が近年注目されているが、それと同じことを大隈重信が1881年に「建議統計院設置ノ件」で述べており、実はデータ科学と早稲田大学は関係性が深いといったエピソードの紹介もありました。
中盤では、データサイエンスによる意思決定の具体例ということで、統計学の知識を用いてデータから統計的(科学的)に論ずることの重要性や、回帰分析を用いて数理的に意思決定の根拠を導き出す方法について紹介がありました。そして、統計的因果推論の考え方に触れながら、データサイエンスやAIは、分析者やそれを応用する人がちゃんと専門知識、背景知識を使って、「何が正しいか」「誤っているか」を常に考える、検証する必要があることの説明がありました。
終盤では、早稲田大学でのデータサイエンスの学びについて紹介があり、「データ科学」×「専門分野」によって、新しい発見や意思決定を行うために様々な教育コンテンツが学生に提供されており、現在では、早稲田大学の学生延べ約15,000名がデータサイエンスを学んでいることや、それらの学びを証明するために「データ科学認定制度」が運用されていることなどの話がありました。
最後に、具体的な命令文(プロンプト)に対するChatGPTの回答に触れつつ、ChatGPTは質問内容を理解している訳ではなく、あくまで学習した内容をもとに文章の予測をしているに過ぎないということを説明し、AIがどのような処理を行った上で回答を導き出しているのか、その仕組みを理解した上で利用することが大切である旨の話がありました。
受講した高校生もデータサイエンス・AIの最新事例や現在学んでいる数学が社会でどのように応用されているのかを知ることができ、真剣な眼差しで講義に参加していました。