- 研究番号:17C14
- 研究分野:technology
- 研究種別:奨励研究
- 研究期間:2017年04月〜2018年03月
代表研究者

柳澤 優香 理工研が募集する次席研究員
YANAGISAWA Yuka Researcher
理工学研究所 大石 進一研究室
Research Institute for Science and Engineering
研究概要
連立一次方程式,固有値問題などの数値線形代数の近似計算の手法は多く研究されたが,数学的な正しい結果を提供する厳密な計算手法の検討が少なく,効率的な計算手法が期待されている.数値計算で解いたとき,得られた数値解により真の解の存在を考察し,真の解が存在するとしたら真の解と数値解の誤差を厳密に評価する計算方法を精度保証付き数値計算といい,早稲田大学の大石進一教授などの研究グループは多くの研究成果を発表している.特に近年,非線形偏微分方程式をはじめとする関数方程式の解に対する数値的検証法(例えば,[1])の過程で微分作用素の固有値問題が現れ,それの離散化として行列の一般化固有値問題における固有値の厳密な評価が不可欠である.さらに固有値の存在と非存在の範囲を検討するとき,固有値の順位を確定するのも重要である.
本研究の目的は,次の行列の一般化固有値問題
の特定の固有値λとその大きさの順位まで込めて,厳密に評価する方法の構築である.申請者は,Lehman-Goerischの方法と修正コレスキー分解の事前誤差評価に基づき,従来法の欠点であるクラスタな固有値に対応できない,数値安定性が確保されていない,計算コストが大きいなどを克服することで,大規模な疎行列に適用する高速かつ高精度な新しい解法を構築する.
[1] X. Liu, S. Oishi: On guaranteed eigenvalue estimation of compact differential operator with singularity, Proceedings of 2012 International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications (NOLTA 2012), 2012, 812-815.