- 研究番号:15C10
- 研究分野:science
- 研究種別:奨励研究
- 研究期間:2015年04月〜2016年03月
代表研究者

田中 雅士 理工研が募集する次席研究員
TANAKA Masashi Researcher
理工学研究所 寄田 浩平研究室
Research Institute for Science and Engineering
研究概要
銀河の回転速度の測定結果と理論予測のずれ等より宇宙に未知の質量の存在が予見されて以降、これを暗黒物質と呼び存在の直接的実証を目指す実験が数多く行われてきた。近年は、暗黒物質が弱い相互作用をする重い中性粒子(WIMP)により構成されると仮定した探索が一つの主流となっており、空間中を漂うWIMPと標的型検出器の反応を検出する「直接観測型実験」、空間中のWIMP同士の相互作用により生成される二次粒子の検出を目指す「間接観測型実験」、加速器を用いた粒子衝突実験においてWIMPを直接生成し検出を目指す「加速器型実験」の大別して3通りが活発にすすめられている。
図に横軸にWIMPの質量、縦軸にWIMPと核子の反応断面積をとった直接観測型実験の最新結果を示す。図の左上側(低質量、高断面積)の領域ではDAMA、CoGeNT等の実験が高い確度で信号の観測を主張している。一方で、それ以外の実験により同じ領域での存在が排除されている。また、いくつかの間接観測実験(宇宙空間での陽電子/電子存在比率、銀河系中心からのγ線スペクトラム等)でも暗黒物質の存在可能性を示唆するデータが出てきている。実験は依然混沌とした状態にあり、より多くのアイデアと革新的な実験手法が求められているというのが現状である。本研究の目的は標的として液体アルゴンを用いた検出器を製作し低質量領域の暗黒物質探索を行うことにある。