Waseda Research Institute for Science and Engineering早稲田大学 理工学術院総合研究所

プロジェクト研究

可動性メタサーフェス光学素子の研究

Research on Movable Metasurface Optical Elements
  • 研究番号:24C01
  • 研究分野:technology
  • 研究種別:奨励研究
  • 研究期間:2024年04月〜2025年03月

代表研究者

池沢 聡 理工総研が募集する次席研究員
IKEZAWA Satoshi Junior Researcher

理工学術院総合研究所 岩瀬 英治 研究室
Research Institute for Science and Engineering

URL:https://w-rdb.waseda.jp/html/100003820_ja.html

研究概要

本研究は、切り折り紙構造を用いた伸縮機構をナノ構造を有する光学素子(メタサーフェス)に適用することで、複層メタサーフェスを相互に駆動できる可動性メタサーフェス光学素子を実現することを目的とする。本研究で提案された方式が導入されることにより、メタサーフェス製作後の複層メタサーフェスの駆動系の小型化と実装工程を大幅な簡略化が実現する。

具体的には、変位量の可動範囲が大きい切り紙構造を利用することで、メタサーフェス対を相互に平行移動することで、焦点が可変となるレンズ対を実現する。本研究ではシミュレーションによる構造妥当性の立証から、可動性メタサーフェスを製作しデバイス実証まで行うことを考えている。通常メタサーフェスは柱状のナノ構造単位の柱形状、高さ、柱幅、柱間距離を設計することで様々な光学機能が付与される。複層メタサーフェスは、単層メタサーフェスを対にして相互移動させることで初めて機能を発現する。例として焦点可変機能を持つメタサーフェスが挙げられ、相互回転型(モアレメタレンズ)や相互スライド型(アルバレッズメタレンズ)がある。対となるメタサーフェスをウエハチップ上に製作した後に、切り出し、折り紙駆動機構に実装することで対の素子の移動量を確保する。さらに、素子-駆動機構成形一体型の複層メタサーフェスのMEMS製造法を構築し、切り紙構造に基づく切込みをFIB加工などによりウエハに入れ、伸長動作させることでメタサーフェス対の局所的な積層構造の獲得とスライド変位を与える動作機構の実現を目指す。

研究計画は、(1)メタサーフェス製作、(2)切り紙構造を利用した駆動機構の製作、(3)メタサーフェスが実装された可変焦点レンズの動作評価光学系の構築の3つの項目を同時に実施する。この研究課題の達成により、本研究課題目的である複層メタサーフェスを相互に駆動できる可動性メタサーフェス光学素子の実現を実証する。具体的な研究方法(1)メタサーフェスの製作では最初に構造最適化のための電磁場解析を行い、1. 基板ダイシング、2. 基板洗浄、3. 電子線描画、4. レジスト残渣除去、5. マスク材(Al/Cr)蒸着、6. リフトオフ、7. 深掘りエッチング、8. マスク材除去、9. 製作確認の手順で製作する。加工で想定される問題点は、実際の加工における微細構造柱の系統的寸法誤差と、エッジ部への電界集中による形状変形、高さ方向テーパー形状である。これらを回避するために、これまでの研究で得られたノウハウを活用し、プロセスの条件出しを念入りに行い、特にテストパターンを使用した予備製作による寸法補正、EB 装置へのデータ入力前における近接効果補正機能の使用、薬液、プロセスガスの最適化、ICP-RIE のアンテナ電圧とバイアス電圧の最適化などを実施してこの問題を回避する。製造プロセスではこれ以外にも金属膜のスパッタ時のクラッキングや、オーバーエッチング、レジスト塗布時のパーティクル混入、レジストむらなど製作者の技量に依存する品質低下問題が想定されるが、製作繰り返すことで製作精度の向上を達成する。次に(2)切り紙構造を利用した駆動機構の製作では透明材料の伸縮基板を伸長することにより、メタサーフェスが実装された面が局所的に回転し、面外方向に立ち上がりつつ向かい合って平行移動する動作モードを利用する。想定される困難な事象としては、意図しない動作モードが分岐するなどが考えられるので、ピンジョイントによる固定など様々な対策を講じていきたい。(3)メタサーフェスが実装された可変焦点レンズの動作評価光学系の構築では大口径ビームプロファイラによる照射光の集光状況の測定や、顕微光学系とCMOSカメラによる実際のイメージ取得を行い評価する計画である。今後の発展の見通しとしては、シリコンウェハへの切り紙加工とメタサーフェスの複眼化により、高度に集積化した光学素子の実現が期待される。

年次報告

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