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映画監督 細田守さん大隈講堂で語る

2022年10月10日から早稲田大学創立記念日の10月21日まで、大学の多種多様な文化・芸術を発信するイベント「早稲田文化芸術週間2022」を開催しました。コンサート、ライブ、講演会、展示、スタンプラリー、プレゼント企画など、約40の企画を一斉展開しましたが、芸術週間の後半にあたる19日に映画監督の細田守さんの最新作『竜とそばかすの姫』大隈講堂特別上映会、そして上映後に細田監督と文学学術院の坪井秀人教授の対談「物語と映像」が行われました。

『竜とそばかすの姫』 ©2021 スタジオ地図

細田監督と坪井教授は、金沢美術工芸大学の教員と学生として知り合いました。当時、新入生だった細田監督が坪井教授の文学に関する最初の授業の後、坪井教授の研究室を訪れたことがきっかけで交流が始まり現在まで続いています。坪井教授は今回のテーマ「物語と映像」について当時の細田監督の様子を振り返りながら、「私たちの生活では生き方が構造化されています。物語は、アニメや映画のストーリーの中だけにあるわけではなく日常に存在します。多くの大学はいわゆるモノを考える場所ですが、金沢美術工芸大学はモノを作るためのユニークな場所でした。そのような環境の中で、細田さんはモノを作るだけでなくモノを考えることにも貪欲でした。」と語りました。一方、細田監督は、「学生時代、将来どのようになりたいか、まだ明確にはなかったのですが、坪井先生との出会いと導きがなければ、現在のような映画監督になっていないという気がします。自分自身の興味に浸ることが許される自由な時代で、先生のおかげでさまざまな新しい世界と出会うことができました。」と振り返りました。

細田守監督

坪井秀人教授

坪井教授から、対談前に特別上映された『竜とそばかすの姫』や過去の作品の物語について触れられたのを受けて、細田監督は「インターネットやSNSが現実の社会に何を与え、何を明らかにしているのか伝えたかったんです。ネットが登場した黎明期は、新しい人たちが新しい道具を使って新しい世界を打ち立てるだろうという希望がありました。しかし、2022年では人々のあらゆる側面が暴かれるネガティブな場所にもなってしまいました。それでも近い未来、ネットの新しい現実が僕らにどういう希望をもたらすのか表現したいと思いました。仮想世界が企業の枠組みや国境を越えて公平で平等な場所になってほしいし、もっと自由や個人の幸せに寄与するものになってほしいんです。」と語りました。

©2021 スタジオ地図

©2021 スタジオ地図

次回作について聞かれた細田監督は、「今まさに準備をしています。コロナウイルス感染拡大やウクライナの現状など様々な変化が起こる中、若者がこの困難な時代をどう受け止めているのかに想いを馳せ、その中でたくましく生き抜いていくには何が必要なんだろうということを問う作品にしたいです。人に寄り添う気持ちの大切さと、“楽しくいこう”と明るく前を向く大事さの、その両方が伝わるものになればと願っています。」と答えました。

対談の後、会場に来た早大生からの質問に答えました。作品を作ることの怖さについて質問された細田監督は、「以前作品作りを挫折したことがありました。その後に新しい作品を作るのはとても尻込みしましたし、今でもそういう気持ちになることもあります。しかしそれでもなぜ作るのかというと、作らずにはいられないほどの強い想いが僕を突き動かすからです。今までにない新しいテーマを表現したいという湧き上がるような想いからアニメーション映画の可能性を探し続けています。そのような気持ちが自分のモチベーションのひとつになっています。」と自身の創作に対する想いを伝えました。

©2021 スタジオ地図

最後に坪井教授から学生のみなさんへのメッセージを聞かれ、「大学生活の中で、その後の人生に影響を与える出会いがあるから見逃さないようにしてほしいです。私と坪井教授のような出会いを大切にしてください。」と伝えました。

対談が終わって30分を過ぎても質問する学生の手はまったく減らず坪井教授、細田監督も笑顔で驚いていましたが、最後は講堂に鳴り響く大きな拍手に包まれました。

早稲田大学では今後もお2人の対談のように学生のみなさんにとってキャリア形成のヒントになるようなイベントを開催していきます。イベント情報については早稲田大学ウェブサイト、トップページにも掲載されていますので是非ご活用ください。

細田守監督 撮影/神藤 剛

細田守(ほそだまもる)
映画監督

Profile
1967年、富山県出身。1991年に東映動画(現・東映アニメーション)へ入社し、アニメーターを経て1999年に「劇場版デジモンアドベンチャー」で映画監督としてデビュー。その後、フリーとなり、「時をかける少女」(06)、「サマーウォーズ」(09) を監督し、国内外で注目を集める。11年、自身のアニメーション映画制作会社「スタジオ地図」を設立し、「おおかみこどもの雨と雪」(12) 、「バケモノの子」(15)でともに監督・脚本・原作を手がけた。「未来のミライ」(18)(監督・脚本・原作)で第91回米国アカデミー賞長編アニメーション作品賞にノミネートされた。最新作「竜とそばかすの姫」(監督・脚本・原作)は自身の監督作品歴代1位の興行収入を記録。第74回カンヌ国際映画祭カンヌ・プルミエール部門に選出されている。

※掲載情報は2022年度内の取材当時のものです。

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