2020年3月25日
文学学術院長/文化構想学部長 川尻秋生
卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
とは言え、今年度の卒業式、そして新年度の入学式は中止になり、授業開始も4月20日以降に繰り下げになりました。こうした措置は、2011年3月に起きた東日本大震災以来のことです。
この原因は、新型コロナウィルスの蔓延によることは言うまでもありません。卒業式を楽しみにしていた皆さんのお気持ちを察するには余りありますし、我々教職員にとっても誠に残念なことです。
ここ10年の間に、日本では大地震(それにともなう原発事故)、そしておそらく永く人類の記憶に残るであろうウィルス禍に見舞われました。もちろん、自然が相手であるからどうしようもないという意見があるかも知れませんが、社会自体にも原因があるように思われます。人間がこうした災害を甘く見、あるいは対応策を見誤った可能性もあるからです。また、今回の災害を世界的に見れば、急速なグローバル化、格差社会の広がり、社会保障制度の後退が、より被害を大きくしようとしているとも言えそうです。
卒業生の皆さんには、今回の災禍を永く記憶し、是非、日本社会さらには人類社会の明日に対して強い関心を持ってほしいと思います。さらに、人が人として暮らしやすい社会とは何か、このような根本的な問いを心に抱いて巣立ってもらいたいと、私は願っています。
最後になりますが、早稲田大学は「心の故郷」として、いつまでも皆さんを応援します。そして、これからも皆さんが健康で、豊かな人生を歩まれることを心よりお祈りしています。
ご卒業、本当におめでとう。