自己紹介
私は、高齢者に関わる教育と、地域社会のなかで高齢者が生活するための福祉づくりや生と死について研究をしています。また学校のなかの生徒会や部活動のような特別活動に関する研究を行っています。
私は、子どもの頃からあまり積極的なクラスの中心のタイプではなく、どちらかというと一つ外から眺めているような子どもだったと思います。そのため、子どもたちのグループやクラスを客観的に見ていることが多かったように思います。当時、私はよく変わっているねと言われていたので、それで「普通」とは何かということにとても関心を持っていたのだと思います。また、子どもの頃に生活していた学区に、心身の発達に障害のある方の.医療支援、研究・入所支援・療育支援等を行なう、総合的な福祉センターがあり、障害のある子どもたちと一緒に集団で登校をしていたので、福祉的支援の大切さをしたように思えます。中学校に入って、ボランティアに興味を持つようになったのは、学校の周辺の外国人労働者の支援を行うグループを自分たちで作ったことからだったと思います。それが教育・福祉支援をするようになったのだと思います。

大学の野球部と中学生のための親子野球教室を開催
大学生では、大学の2年生あたりから、高齢者の学習について研究しようと思い、地域の生涯学習センターで行っている高齢者の学習実践に参加させていただき、学びの楽しさや、高齢者のグループ内での悩みなど、様々なことを勉強しました。この高齢者の学習で大切なものに健康学習があるのですが、そこから、高齢者のスポーツに興味も持つようになり、いつのまにか若者やスポーツ選手の相談も乗るようになり、練習プログラムの作成を一緒に作ってゆくようになってから、教育学の専門なので学校の中の部活動に関わるようになりました。

高齢者が多い中山間地域で大学生と地域のミニコミ誌を作成し発表をする
また、特別活動のなかでも主権者教育という18歳選挙に関わる子どもたちの学校での学習方法も考えるようになり、最初は地域の福祉支援からはじまって、今では、色々な社会問題に広がっています。
私の専門分野、ここが面白い!

若者の選挙啓発としてCM動画を作成
私の研究の中心は、高齢者教育なのですが、お年寄りの研究という単純なことだけはありません。超高齢社会になってゆくなかで、高齢者に対してどのような教育するのかという問題もあります。高齢者が加害者になるような問題から、親も子も高齢者で、生活ができなく生活保護となっている問題や、障害がある家族や介護が必要な高齢者がいるなかで、若い世代がケア(介護)をしなければならないヤングケアラーの問題など、高齢者の社会問題は多数です。また、高齢者といっても様々な人がいて、若い世代から批判されている「老害」の問題もあります。また、この高齢者ですが、決してお年寄りだけのことでないのです。部活などの組織を卒業した人のことを、OB・OGと呼びますがオールドは、小さい頃から経験します。高校生の部活に大学生になった卒業生が入ってきて、色々行ってきたら、それは「老害」となります。「老」は、決して高齢者だけがなるものでなく、尊敬される存在になるのか、弊害になるのか、それについてどのような政策や学習をすればいいのかについて考えます。そして大切になるのが、高齢者の先にある「死」です。決して、死は高齢の先になるものではありませんが、多くの人が等しく迎えることです。現在の世の中で様々な死に対して、どのように生きている私たちは考えなければならないのかという、死について考え方と、そのための学びの実践についても研究を行っています。いわゆる終焉についての研究です。
これまでタブーであった問題に対して切り込んでゆくので、そこが高齢者教育の研究の面白さだと思います。
プロフィール
1974年、愛知県生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、早稲田大学大学院教育学修士・博士後期課程、名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士後期課程修了後、2013年に博士(教育学)学位取得。2009年岡崎女子短期大学幼児教育学科専任講師。2010年、鹿児島大学教育学部専任講師、2011年同大学教育学部准教授、2017年同大学学術研究院法文教育学域教育系准教授を歴任し、2022年4月より早稲田大学文学学術院准教授。
主な著書、単著『日本の高齢者教育の構造と変遷』(風間書房、2018年)共著『部活動学《子どもが主体のよりよいクラブをつくる24の視点》』(ベースボール・マガジン社、2020年)
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