“開放制”は卒業するために教員免許状の取得は必須ではないことを示しています。早稲田大学教育学部では、卒業の要件に教員免許状の取得を課していません。
どの学部でも教員を目指したい学生には広く門戸が開かれているため、諸活動を通して様々な進路を目指す学生から刺激を受けることにより、魅力的な教員養成が行える環境があります。
学校長など教員経験の豊かな「教員就職アドバイザー」と呼ばれる3名の専門スタッフが、教員就職を目指す学生を日々支援しています。
教員採用試験対策に向けたイベントを実施しています。
教員就職アドバイザーの他、校友である現職校長や教諭を招き、最新の教員採用試験情報提供や教員就職のための具体的な指導を行います。
普段の学校現場を体験するため、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校での学習補助等を通した貴重な現場体験を行える機会があります。
早稲田大学卒業の教員は全国各地で活躍しており、卒業後も、各地に「稲門教育会」と呼ばれる組織を通して、関東に限らず全国各地で交流が行われています。
早稲田大学における教員養成の歴史は、教育学部の前身である高等師範部が設立された1903年にさかのぼります。各私学の学風を生かして多様な価値観をもつ教員を養成すべきという当時の第三代総長高田早苗の思いがありました。1949年には、私学で最初の教育学部となり、同時に教員の資格取得を義務付けない“開放制”の教職課程を全国の大学で初めて採用しました。学生の多様な個性を尊重し、学問の自由を重視する本学の姿勢の表れでもあります。
教職課程科目は、教育学部以外の学部からも教員免許状取得を目指す学生諸君が集う“全学的な学びの場”となっています。この学びの場から120年にわたり教育界に優秀な人材を送り続け、文字通り私学の雄としてその伝統と指導性を発揮してきました。
教員就職への道は必ずしも容易ではありませんが、次世代の学びを支える専門職への道を歩む多くの先輩たちと一緒に履修し、教職支援センター教員就職指導室の教員採用試験対策を活用して免許状取得に取り組んでほしいと思います。
学科・専攻によって取得可能な教員免許状が異なりますので、ご注意ください。
教育学科 | 教育学専攻 (教育学専修、生涯教育学専修、教育心理学専修) |
社会(中学校1種)、地理歴史(高校1種)、公民(高校1種)、特別支援学校(1種) |
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初等教育学専攻 | 小学校1種 | |
国語国文学科 | 国語(中学校1種)、国語(高校1種) | |
英語英文学科 | 英語(中学校1種)、英語(高校1種) | |
社会科 | 地理歴史専修 | 社会(中学校1種)、地理歴史(高校1種)、公民(高校1種) |
公共市民学専修 | 社会(中学校1種)、地理歴史(高校1種)、公民(高校1種) | |
理学科 | 生物学専修 | 理科(中学校1種)、理科(高校1種) |
地球科学専修 | 理科(中学校1種)、理科(高校1種) | |
数学科 | 数学(中学校1種)、数学(高校1種)、情報(高校1種) | |
複合文化学科 | ドイツ語(中学校1種)、フランス語(中学校1種)、中国語(中学校1種)、スペイン語(中学校1種) ドイツ語(高校1種)、フランス語(高校1種)、中国語(高校1種)、スペイン語(高校1種) |
図書館司書 学校図書館司書教諭 博物館学芸員 社会教育主事 社会福祉主事 認定心理士※ 公認心理師(原則として大学院進学が必要)※ |
※教育学科教育学専攻教育心理学専修、教育学科初等教育学専攻のみ。
所属
教育学部国語国文学科(2021年3月卒業)
教員を目指した理由
生徒と共に前を向いたり後ろを向いたりしたかったこと、そして何より授業創りがとても面白いと感じたことがきっかけです。
教員を目指す方へのアドバイス
「本当に教員になりたいのか」という問いに対し、100%の自信と確信を持って首を縦に振れる方は素晴らしいと思います。しかし、迷いがあったり、不安な気持ちを拭えなかったりする方も少なくないと思います。実は、私もその一人でした。
教員になることを迷っている方こそ、教育関係の経験を広く積むことをお勧めします。良いことも悪いことも、実際に体験しないとわからないことが沢山あります。私は、2年生から3年生まで小学校の特別支援学級の介助員のアルバイト(指導室の斡旋)と、2年生で1年間、小学校のインターンをしていました。やりがいや自分の向き不向きを知ることができました。
また、教育関係以外の経験を積むことで視野や可能性を広げることができます。私は、GEC(※)科目の「リーダーシップ開発01~04」を受講し、学年や学部の垣根を越えてチームを組み、クライアント企業に対してプレゼンをするという経験をしました。学びは必ず繋がるので、興味を持ったことは何でも挑戦してみることが肝要です。
※GEC:グローバルエデュケーションセンター。学部・学年を問わず、「基盤教育」「言語教育」「リベラルアーツ教育」の充実したプログラムを全学の学生に提供しています。
所属
文学部(2019年3月卒業)
教員を目指した理由
私は大学1年次から教職課程を履修していました。しかし当時は大学院進学を希望しており、研究との両立が可能な職業として教職を考えていたにすぎませんでした。その為、教員になることに関しては、さほど真剣に受け止めていませんでした。
けれども大学で学び続ける中で、誰かの成長を後押ししその人が育っていくのを見守りたい、自分の感じてきたことを下の世代に伝えていきたいといった思いや、教育には世界を変えるだけの力があるのではないかといった考えが強くなっていきました。その結果、大学3年次に進路を変更し、教壇に立つことを目指すようになりました。
教員を目指す方へのアドバイス
不安に襲われることもあるかと思います。しかし、教師は「人を信じるプロ」であると私は考えます。生徒を信じるように、自分のことを信じ抜いてください。そして、「豊かなひと」をめざし、振り返った時に笑みの浮かぶような充実した学生生活を送ってください。
また、早稲田で教職を取るにあたっては、教員就職指導室を最大限に活用することをお勧めします。私は、大学院進学と迷っていたこともあり、採用試験の準備が遅れてしまいました。そもそも試験についての情報さえほとんど持っていない状況だったため、指導室の先生方に相談に乗って頂き、合格に向けての準備を行いました。特に小論文の添削を重点的にお願いし、厳しい指導ではありましたが、そのおかげで当日も自信を持って臨むことができました。
指導室に通ったことで、ともに教職を目指す仲間たちに出会いました。採用試験の対策のときには、毎日のように集団討論や個人面接の練習をしていました。互いに励まし合い、鍛え合ったことで、実力をつけることができました。それだけではなく、人としても成長することができたのではないかと思います。仲間たちと共に高めあった経験は、教員になってからも大きな励みになると確信しています。