2006年3月修士課程修了
裵 智賢(Bae Jihyun)さん
(マーケティング・国際ビジネス専修 広告理論研究指導/現職:広告代理店勤務 コピーライター)
2006年に商学研究科を修了して韓国の広告代理店、Cheil Communicationsで働いています。私は学生時代からコピーライターの仕事に興味を持っており、日本の博報堂と今の職場である韓国のCheil Communicationsの制作部でインターンをしました。その経験を生かして、コピーライターとして働いています。
早大商研への進学を決めたのはどのようなきっかけからでしたでしょうか?
韓国のソウルで大学を卒業してから、留学のため日本に来ました。とはいっても、来日当時は、どこの大学で何を勉強しようとはっきり決めていませんでした。ただ、日本の文化が好きでしたので色々勉強してみたいな、と思っていました 。来日から約1年半は日本語学校に通いました。
日本語や日本の生活に慣れてきた頃、知人が「大学の専攻を生かして日本でもっと勉強してみないか」と何冊かの本を渡してくれました。読んでみると、前から広告が好きだったこともあり、毎日接している広告をただ見るだけでなく、その歴史や意味をちゃんと把握してみたいと強く考えるようになりました。
日本留学は、他の国の広告について深く勉強できる良い機会だとも思いました。その日から早稲田大学商学研究科を目標にして受験勉強を始めました。
実際に入学され、学生生活はいかがでしたか?
私の場合は、入学する前に科目等履修生として広告の授業を受けていました。
そのとき、商研の先輩たちと知り合う機会がありましたので、すでにゼミの雰囲気や先生と先輩たちの素晴らしさに憧れていました。必ず受かって入学したいと思いましたね。入学してから楽しかったのは、ゼミにアメリカ、中国など世界各国からの友達が集まっていたこと。二年生になった時はフランスからの後輩も合流して世界の広告に関して議論し、勉強することができました。勉強以外にも、先生のお宅、ゼミ生の部屋に集まって、パーティをすることも結構多かったです(笑)。お互いに自分の国の料理を作って披露しあったり……5年以上も前のことですが、今考えても懐かしくて大切な思い出です。
修士論文はどのようなテーマで執筆されましたか。執筆中のエピソードややりがいを感じた点・苦労された点を教えてください
修士論文のテーマは「国の文化が広告に与える影響について」でした。
外国人の視線から見た日本の広告は、その素材やトーンアンドマナーにおいて独特な特性がありました。例えば、消費者金融の広告の表現はとても面白いと思いましたが、当時韓国には消費者金融のテレビ広告自体がありませんでした。パチンコの広告も国ではみたことなかったですし。広告のトーンアンドマナーについても、日本の広告は他の国に比べてユーモラスなものが多いと感じました。有名なタレントを使うところは、韓国と同じですけど、タレントをコミカルに描くことは日本の方が多かったです。それで、実際に検証してみようと考えました。
でも、このような自分の感想から出発したテーマだっただけに、正確に数値化することがとても難しかったです。いくら私が面白いと思っても、人によって「これは面白くない」と考えますし。それで、何回かの危機がありました(笑)。「この論文、いったい書き上がるのだろうか」と、毎晩心配しました。でも、先生と先輩、後輩たちがはげましてくれて、無事論文を完成させました。
就職活動はどのように行いましたか。また、進路を決めるきっかけはどのようなことでしたか。
留学生の場合、就職活動の前に決めておくべきことがあります。それは「国へ帰るかどうか」です。私の場合、「卒業したら国へ帰って働く」と決めていましたので、日本での就職活動はしませんでした。また、進路に関しては、学部と大学院でマーケティングと広告を学んだし、子供の時から「書くのが好き」でしたので、いつのまにか「代理店に入ってコピーライターになろう」と決めていました。きっかけというより自然にそうなっていましたね。
それで、韓国の代理店をねらって就職活動を始めましたが、当時は在学中で、当然日本にいましたので、先輩訪問など直接に会社へ伺うことはできませんでした。でも、学部時代から休みのたびにインターンをしていましたので、そのときの会社の先輩たちに電話やメールで色々聞くことができました。早稲田への留学、博報堂でのインターン経験以外にも、日本でとった剣道2段の資格や生け花のような趣味活動で良い評価を得られました。
現在、大学院で学んだことをどのように活かされ活躍なさっているかについて教えてください
数えきれません。「特に、これを活かしています」というより、ゼミで習ったことが全般的に私の力になっています。ゼミの勉強に際して、図書館で資料を調べたり本を読んだりして、ノートにメモしていましたが、そのノートは今でも仕事しながらときどき見かえすととても役に立ちます。記憶に残ったコピーを思い出して、「日本にはこんなコピーがありましたよ」と紹介することも多いです。
また、人との出会い、それから知り合った人たちとの人間関係が何より大事だと習いました。素晴らしい先生とゼミの友達に恵まれていた二年間、その時間と経験を大切に胸に畳んでいます。それこそ私が大学院で得た宝物です。
進学を検討されている方へ、メッセージをお願いいたします
高校を卒業して社会人になるまでの4年間の大学生活、大学院に進学すればさらに2年間かそれ以上になりますが、この期間は皆さんの人生で一番美しい時間になるはずです。
早稲田大学で皆さんが描いた夢を広げて下さい!
素晴らしい先生たちから学問の知識と人生の知恵を学び、一生の友達になる先輩と後輩たちに出会って下さい。
みなさん、頑張って下さいね!