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第10回早稲田大学坪内逍遙大賞が決定しました

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Fri 17 Oct 25

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 早稲田大学(東京都新宿区、総長:田中愛治)は、「第10回 早稲田大学 坪内逍遙大賞」につきまして、10月7日に選考委員会を開催し、大賞に沼野 充義 氏、奨励賞に井戸川 射子 氏を決定いたしました。

坪内逍遙大賞の概要

「早稲田大学坪内逍遙大賞」は、2007年に創立125周年を記念して創設いたしました。 近代日本の文芸・文化の創造者ともいうべき坪内逍遙を顕彰し、その精神をひろく未来の文化の新たな創出につなげたいという趣旨に基づき、文芸をはじめとする文化芸術活動において著しい貢献をなした個人(もしくは団体)を顕彰いたします。
広く開かれた独自の意義をになう賞を目指し、「大賞」に加えて、これからの文化の担い手としての才能を応援すべく「奨励賞」設け、隔年で授賞しております。

【大 賞】沼野 充義

プロフィール

(ぬまの みつよし)
1954年、東京都生まれ。東京大学名誉教授、名古屋外国語大学名誉教授。専門はロシア文学、ポーランド文学、現代文芸論。ハーバード大学スラヴ文学修士、東京大学大学院博士課程満期退学。ワルシャワ大学、ハーバード大学世界文学研究所でも教える。
著書に『徹夜の塊1 亡命文学論』(サントリー学芸賞)、『徹夜の塊2 ユートピア文学論』(読売文学賞)、『徹夜の塊3 世界文学論』(以上作品社)、『チェーホフ 七分の絶望と三分の希望』(講談社)、『ロシア文学を学びにアメリカへ?』(中公文庫)など。訳書に『新訳 チェーホフ短篇集』、ナボコフ『賜物』、レム『ソラリス』、シンボルスカ『終わりと始まり』など。

授賞理由

沼野充義氏は、ロシア・ポーランド文学の翻訳と解釈に数多くの優れた業績を積み上げると同時に、生涯にわたり、透徹した批評眼と時代を俯瞰する柔らかい感性によって日本の文芸理論と批評に新風を吹き込んできた。とくに90年代初頭以降、冷戦終結やインターネットの普及、グローバル経済の拡張といった世界情勢に呼応するように立ち現れた世界文学(world literature)というグローバルな批評視点を日本へもたらし、日本近代および現代の文芸を捉え直す大きな新機軸を打ち出した点は特筆に値する。翻訳を通じて他文化理解の深化、高い創造性を学術世界にさし示したとして知られる坪内博士の名を冠したこの大賞には、まことにふさわしい人物と言える。
(ロバート キャンベル)

受賞者コメント

このたびの受賞、身に余る光栄です。振り返れば、好きなことを好きなようにやってきただけのわが身。私の役柄はせいぜい、のべつまくなしに下品なことを大声でしゃべり続ける喜劇役者におずおずと突っ込みを入れる、気の弱い相方のようなものでしょう。その喜劇役者は世界といいます。相方は非力ですが、それなくしては世界は暴走してしまう。ハッピーエンディングの見えてこないこの不条理劇を支えてくださった皆様に、改めてお礼を申し上げます。

【奨励賞】井戸川 射子

プロフィール

(いどがわ いこ)
1987年、兵庫県生まれ。2018年、第一詩集『する、されるユートピア』を私家版にて発行。2019 年、同詩集にて第24回中原中也賞を受賞。2021年に小説集『ここはとても速い川』で第43回野間文芸新人賞を、2023年に『この世の喜びよ』で第168回芥川龍之介賞を、2025年に『無形』で芸術選奨新人賞を受賞。他の著作として、詩集に『遠景』、小説に『共に明るい』『移動そのもの』『曇りなく常に良く』がある。

授賞理由

高校の国語教師時代、教えるために始めた詩作で中原中也賞を射止めた。続いて小説を書き始めるとまたもや才能を開花させ、現代人が置かれたそれぞれに辛(つら)い、けれども喜びの発見もある日常世界を、児童養護施設で暮らす子供、子育てを終えた女性、あるいはふつうの女子高校生に、寄り添うように描いてきた。近作の短編集『移動そのもの』で、作者の文章は詩と小説のあいだを融通無碍に往き来し、創作にかかわる多くの人々を刺激してやまない。 この才能が長くのびやかに発揮されることを願い、授賞を決定した。
(尾崎 真理子)

受賞者コメント

このたびはこのような賞を賜り、感謝申し上げます。
毎日一人、部屋で言葉と戯れながら七転八倒しているのを、よく戯れよく七転八倒しているね、窓の外から見ていたよと微笑まれ励まされ、自分は今照れ笑いしているという状態です。 賞の趣旨である、「これからの文化の担い手」という言葉を眺め、自分の第一詩集に、わたしたちは文化のランナーであると書いたそれを思い出し、一人の部屋でも窓には自分も映っていたのだという、気づきの照れ笑いです。

これまでの受賞者、選考委員

これまでの受賞者

第1回(2007年)  大賞:村上 春樹   奨励賞:川上 未映子
第2回(2009年)  大賞:多和田 葉子  奨励賞:木内 昇
第3回(2011年)  大賞:野田 秀樹   奨励賞:円城 塔
第4回(2013年)  大賞:小川 洋子   奨励賞:小野 正嗣・山田 航
第5回(2015年)  大賞:伊藤 比呂美  奨励賞:福永 信
第6回(2017年)  大賞:柴田 元幸   奨励賞:アーサー・ビナード
第7回(2019年)  大賞:是枝 裕和   奨励賞:福嶋 亮大
第8回(2021年)  大賞:桐野 夏生   奨励賞:マーサ・ナカムラ
第9回(2023年)  大賞:池澤 夏樹   奨励賞:グレゴリー・ケズナジャット

選考委員

奥泉 光(委員長)   小説家
桐野 夏生(副委員長) 小説家、日本ペンクラブ会長
栩木 伸明(副委員長) 翻訳家、早稲田大学教授
尾崎 真理子     文芸評論家、神奈川近代文学館理事
ロバート キャンベル 日本文学研究者、早稲田大学特命教授
田村 文       共同通信社編集委員
武藤 旬       文藝春秋第一文藝部長

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