「第10回 早稲田狂言の夕べ」を開催しました
2019年4月16日(火)、毎年恒例の「早稲田狂言の夕べ」を大隈記念講堂にて開催しました。
「早稲田狂言の夕べ」は、2010年に早稲田大学校友会設立125周年を記念して始まりました。以来、早稲田大学芸術功労者で人間国宝・文化功労者の野村万作氏のご協力のもと、春の恒例行事として毎年開催しています。2011年からは本学推薦校友の野村萬斎氏をお迎えし、また年によっては本学校友の能楽師の方々にもご出演いただき、まさに「早稲田狂言」の名にふさわしい催しとなっています。
第10回目となる本年は、「鬼瓦」「止動方角」の二作品が演じられ、上演前には萬斎氏による作品の解説が行われました。
「鬼瓦」は、長らく在京していた大名が、帰国することになるところから始まります。無事訴訟も叶い、これも日頃信仰している因幡薬師のおかげと、お礼と暇乞いのため太郎冠者を連れ参詣に出向きます。お参りを済ませた二人がお堂の様子を見て回るうち、ふと見上げた屋根の鬼瓦が目に留まります。すると大名は急に泣き出してしまい…。
ほのぼのとしたユーモアのある味わい深い狂言で、大名を野村万作氏が演じました。
続く「止動方角(しどうほうがく)」は、一頭の馬をめぐった、太郎冠者と主人が繰り広げる大活劇です。
太郎冠者は茶くらべで見栄を張りたい主人に命じられ、伯父に茶と太刀と馬を借りに行きます。ところが借りる馬には癖があり、後ろで咳をすると暴れだすといいます。無いよりはマシと連れて帰るが、太郎冠者を待ちかねた主人は、労をねぎらうどころかいきなり遅いと叱りつけます。腹を立てた太郎冠者は、さっそく主人を乗せた馬の後ろで咳をして…。
中世のたくましい人間模様をつぶさに伝える狂言です。わがままな主人に振り回されつつ、随所に自己主張をする太郎冠者を野村萬斎氏が演じました。