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「秋山駿・高井有一」展 -ふたりの「早稲田大学芸術功労者」の歩み

flier42007年3月に秋山駿氏(文芸評論家)、2008年4月に高井有一氏(小説家)が本学芸術功労者として表彰されました。今なお、活躍されるおふたりのこれまでの歩みを振り返ります。主な著作のほか、自筆原稿などを展示いたします。

特に 今回の展示にあたり、秋山氏からは初めて活字となった 同人誌『批評派』、学生時代からの自筆ノート、伊藤整文学賞 ブロンズ像、野間文芸賞メダルなど貴重な資料をお借りしました。 また、高井氏からは初公開となる『北の河」の自筆原稿、 芥川賞の記念時計、谷崎潤一郎賞の記念鏡などをお借りして おります。

この機会に戦後の文芸批評、文学に多大な影響を与えて こられたお二人の軌跡をご覧ください。

詳細

日時 2008年7月1日(火)~ 8月3日(日)
会場 早稲田大学 大隈記念タワー10階 125記念展示室
時間 10:00 ~ 18:00
閉室 8月3日を除く日曜・祝日
主催 早稲田大学文化推進部
協力 「早稲田文学」
お問い合わせ 早稲田大学文化企画課 電話:03-5272-4783

【秋山駿氏 プロフィール】

1930年4月23日東京池袋に生れ。若き日の東京大空襲と敗戦は、社会と人間を見る眼を養う決定的な体験となる。戦後、旧制第二早稲田高等学院に入学、新制早稲田大学第一文学部に進み、1953年に早稲田大学第一文学部文学科仏文学専修を卒業。 1956年に報知新聞社に入社し、そのかたわら文芸批評の筆を執り、1960年、「小林秀雄」で文芸評論家の登竜門である第3回「群像」新人文学賞・評論部門を受賞。

その後雑誌「批評」の同人となり、1963年からは、丹羽文雄主宰の雑誌「文学者」で旺盛な評論活動を開始。その連載の中で、小松川女子高生殺人事件、ドストエフスキイを対象として、従来の文芸評論の枠を超えた柔軟で奥深い思考を展開。それらを収録した1967年出版の第一評論集は『内部の人間』と名付けられた。 1968年には「三田文学」誌上の連続インタビューで、文壇第一線の作家や評論家に鋭く迫る力量を見せ、1969年からは復刊「早稲田文学」の編集委員を務め、連載「歩行と貝殻」を執筆、創設された早稲田大学文学部文芸科にも出講。『無用の告発』『抽象的な逃走』をはじめとする評論集には、重厚だが躍動感のある精神の展開が垣間見える。

小林秀雄や中原中也を論じた作家論・詩人論から新しいスタイルの人生論風のエッセイ、そして織田信長など歴史上の人物をも対象とする幅の広さは、当代の評論家の中でも際立っており、最近の長篇評論『私小説という人生』にも、日本近代文学へのあくなき追求に根差した鋭い考察が随所にうかがえる。

1990年に伊藤整文学賞、1996年に野間文藝賞、毎日出版文化賞を受賞。1997年に評論家として日本芸術院会員にも選ばれている。2007年に早稲田大学芸術功労者として表彰される。

【高井有一氏 プロフィール】

1932年4月27日、東京府北豊島郡長崎町に生れ。祖父の田口掬(きく)汀(てい)は明治文壇で活躍した小説家。小学生時代に祖父と父を失い、疎開先の秋田県角館(かくのだて)では母も失う。こうした戦時中の体験は、文学の原点として、その後繰り返し反芻されることとなる。新制の成蹊高等学校で中村草田男の授業を受け、成蹊大学に進むが、1952年早稲田大学第二文学部外国文学(英文学)専修に編入学、文学サークル「現代文学会」で活動、かたわら大学の広報誌「早稲田学報」の編集助手を務める。その頃の学友には、生島治郎、青木雨彦、長部日出雄らがいた。

1955年に大学を卒業後、共同通信社に入社、文化部に配属され、芸能担当、さらには文芸担当として20年の長きにわたって活躍、そのかたわら小説を書き続ける。立原正秋、岡松和夫、加賀乙彦、辻邦生ら実力ある若手のグループの雑誌「犀」に同人として参加、「夏の日の影」「北の河」を発表。そのうちの「北の河」が「文学界」の「同人雑誌推薦作」として転載され、それが1966年1月に芥川賞となり文壇にデビュー。抑制された端正な文体の中に、戦中の母の死を鮮烈に造型した文学世界は、多くの人に強い印象を与えた。

1966年に第一創作集『北の河』を刊行、静かな口調で戦争に関わるモチーフを追求し続け、「少年たちの戦場」(1967年)「夜明けの土地」(1968年)をはじめとする多くの作品を発表。その間、1969年の第七次「早稲田文学」復刊に際しては、立原正秋、秋山駿らとともに編集委員として支えた。1975年に共同通信社を退社後、文筆に専念、1976年には祖父田口掬(きく)汀(てい)らの明治青年群像を描く「夢の碑(いしぶみ)」を発表、芸術選奨文部大臣賞を受賞。

さらに、短篇作家としての力量を発揮した連作短篇集『夜の蟻(あり)』(1989年)や、友人立原正秋の人間を描く「立原正秋」(1991年)、さらには「昭和」という時代を愛惜とともに描く長篇「時の潮」(2001~2002年)などの名作を発表し続けている。

最近作は、連載エッセイ集『夢か現か』(2006)。1984年に谷崎潤一郎賞、1990年に読売文学賞、1992年に毎日芸術賞、1999年に大仏次郎賞、2002年に野間文芸賞など、多くの賞を受けた。2000年から2年間、日本文芸家協会理事長の要職をも務め、文壇の信頼も厚い。また1996年には、日本芸術院会員にも選ばれた。2008年に早稲田大学芸術功労者として表彰される。

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