「第9回 早稲田狂言の夕べ」を開催しました
2018年4月17日(火)、毎年恒例の「早稲田狂言の夕べ」を大隈記念講堂にて開催しました。
「早稲田狂言の夕べ」は、2010年に早稲田大学校友会設立125周年を記念して始まりました。以来、早稲田大学芸術功労者で人間国宝・文化功労者の野村万作氏のご協力のもと、春の恒例行事として毎年開催しています。2011年からは本学推薦校友の野村萬斎氏をお迎えし、また年によっては本学校友の能楽師の方々にもご出演いただき、まさに「早稲田狂言」の名にふさわしい催しとなっています。
第9回目となる本年は、「しびり」「仁王」の二作品が演じられ、上演前には萬斎氏による作品の解説が行われました。
「しびり」は、足の痺(しび)れを嘘の理由に主人からの堺への御使いを断った太郎冠者(召使)が、仮病を見抜いた主人から「伯父からご馳走の招待がある」という、こちらも嘘の話を聞かされ、慌て始めるという話です。
ふるまいについていきたい一心から、自らの足の痺れを擬人化して痺れに言って聞かせる太郎冠者。しかしいざ治してみせたと喜んでいると、それなら堺へ行って来いと主人から言われてしまい、太郎冠者は再び苦しむ振りを始めます。
今回は野村万作氏が太郎冠者、野村裕基(萬斎氏の長男)氏が主人をそれぞれ演じられました。ふるまいになんとしても行きたい太郎冠者の、痺れが治ったり再び発作に苦しんだりといった行動が滑稽に演じられ、会場内では時折笑い声も聞かれました。
続く「仁王」は、博打で財産の尽きた男が、知人から仁王になりすまして参詣人の供え物を騙し取る悪計をもちかけられるという話です。
仁王に扮した男のもとにやってきては願い事をし、供え物を置いていくたくさんの参詣人たち。それに味をしめて扮装し続ける男ですが、ある人物がきたことで事態は大きく変わります。
首や手にかけられる供え物の重さに耐え、阿形像の仁王さながらのポーズをとる男を野村萬斎氏が演じられました。題材に取っているのは「仏が天下った」という類の霊験詐欺ですが、狂言ならではの解釈によるコミカルな内容で、多くの来場者の皆さまにお楽しみいただきました。