Waseda Weekly早稲田ウィークリー

特集

凝縮された歴史と今を体感!「早稲田スポーツミュージアム」

早稲田大学には、1928年に設立した坪内博士記念演劇博物館をはじめ、會津八一記念博物館早稲田大学歴史館早稲田スポーツミュージアム、2020年秋開館の本庄早稲田の杜ミュージアムと5つのミュージアムがあります。このほか、今秋には国際文学館(通称「村上春樹ライブラリー」)の開館も予定しており、これだけ多様性に富んだ文化施設がある大学は国内ではなかなかありません。その一方、それらの存在は知っていても訪れたことがない、という早大生も多いのでは? そこで今回は、『早稲田ウィークリー』レポーターの山本皓大さん(政治経済学部3年)が、戸山キャンパスにある早稲田スポーツミュージアムを訪問。文化推進部文化企画課学芸員のチャン・ボイェさんに案内してもらいました。また、各ミュージアムに足を運ばずともオンライン上で楽しめるVR企画もご紹介します。5月から始まる「Museum Week」に向けて、皆さんの興味・関心があるものを見つけてみてください!

※取材は、新型コロナウイルス感染症の予防を徹底した上で行いました。

(左から)山本さん、チャンさん

伝統の継承者たれ。未来の創造者たれ。
早稲田スポーツの歴史、ここにあり

チャン

“早稲田スポーツ”がこれまでスポーツ界で築いてきた輝かしい業績をたどれるミュージアムを作ろうという構想は、以前からありました。1964年東京オリンピックのフェンシング競技会場としても使われ、“早稲田スポーツ”の聖地として親しまれてきた「記念会堂」が、老朽化のため惜しまれつつも「早稲田アリーナ」に建て替わることが決定しました。その際、ミュージアムの具現化の機運が一気に高まり、2019年3月に誕生したのが、この「早稲田スポーツミュージアム」です。ミュージアムのエントランスには、記念会堂の記憶を伝承するため、会堂内に飾られていた1964年の東京オリンピック記念レリーフを設置したほか、会堂の外壁を再利用しているんですよ。

チャンさんの後ろに飾られているのが記念レリーフ

山本

僕が入学したのは2019年4月なので、早稲田アリーナやこのミュージアムができたばかりのころですね。

チャン

ミュージアムの設立にあたっては、稲門体育会をはじめとする多くの関係者からの協力を得て、関連の貴重な品々を展示しています。“早稲田スポーツ”の歴史や栄光のシーンを体感いただける施設になっています。

山本

主にどんな方が来館されますか?

チャン

校友(卒業生)や早稲田スポーツ関係者の方が多いのですが、ぜひ在学生の皆さんにも来ていただきたいです。ミュージアム内にはこれまでの歴史だけでなく、レスリング女子50キロ級で今年の東京オリンピック代表に内定した、レスリング部の須崎優衣さん(スポーツ科学部4年)のように、まさに今、スポーツ界で活躍している在学生の紹介もあります。大学スポーツだけではなく、日本のスポーツ界を引っ張っていく彼らのエネルギーも感じ取っていただけたらと思います

早稲田スポーツミュージアムは、10のコーナーで構成されている

「記念会堂」の記憶

チャン

それでは、順番に展示室をご紹介したいと思います。まず、エントランスを入って最初のコーナーが「『記念会堂』の記憶」です。冒頭でもご説明しましたが、以前この場所に建っていた記念会堂の外壁を再利用したアートワークには、記念会堂の記録映像が流れています。体育の授業や屋内競技試合、また、入学式、卒業式などで使用されていた当時の様子のほか、工事前に開催された「さよなら記念会堂イベント」の模様です。

山本

記念会堂は、学生や大学にとって大切な場所だったんですね。

右の建物が記念会堂(2015年撮影)

チャン

はい。体育各部の部員でなくても、入学式や卒業式、早稲田祭などのイベントを行った場所として記憶に残っているはずです。続いてこちらの「オリンピック・パラリンピックメダリスト銘板」には、早稲田大学在学生および出身者で、オリンピック・パラリンピックでメダルを獲得した方のネームプレートがはめ込まれているんです。今後の大会でメダリストが誕生したら、またプレートが増えますね。

早稲田スポーツの原点

チャン

次のコーナーは「早稲田スポーツの原点」です。学問だけでなく「身体の強健」を重視してきた大隈重信の言葉と、「日本野球の父」と呼ばれる安部磯雄が提唱した学生スポーツのあるべき姿が紹介されています。隣にはその2人の精神を受け継ぎ活躍した校友のアスリートたちが、早稲田スポーツのスピリットについて語る映像を放映しています。

山本

選手ならではの考えや体験談を聞けるのが興味深いです。それぞれの先輩方の視点から、早稲田スポーツのスピリットとは何かを知ることができるんですね。

早稲田スポーツクロノロジー /早稲田スポーツの栄光

チャン

次は「早稲田スポーツクロノロジー」と題したコーナーになりますが、こちらでは草創期から現在までの早稲田スポーツに関わる出来事が概観できます。日本・世界のスポーツ史とともに、スポーツの発展をけん引してきた早稲田スポーツの実績を年表でたどっています。続いての「早稲田スポーツの栄光」コーナーでは、早くから海外に目を向け、最先端の知識や技術を新しい戦術に発展させた早稲田スポーツの伝説的なエピソードを、展示資料を交えて紹介しています。例えば、有名な「一球入魂」という言葉を残した「学生野球の父」で野球部初代監督を務めた飛田忠順(穂洲)さんが野球部時代に使用していたユニフォームとグローブもあるんですよ。

山本

今のユニフォームと同じように「WASEDA」の文字が刺しゅうされている! グローブはだいぶ進化していることが分かりますね。昔のものは厚手の手袋みたいです。

早稲田スポーツクロノロジー(左)と早稲田スポーツの栄光(右)を通して、輝かしい歴史を感じることができる

ダイナミックシアター/早稲田スポーツ名鑑

チャン

「ダイナミックシアター」は、早稲田スポーツの名場面映像を大画面で見ることができるスペースです。先日までは大学ラグビーの歴史に残る、伝説の“雪の早明戦”(1987年)を放映し、大変好評を得ました。放映プログラムは不定期ではありますが、随時変更するので、ぜひ訪れてチェックしてほしいです。また、向かいには本来なら「早稲田スポーツ名鑑」というタッチパネル式の閲覧システムがあるのですが…。

山本

入学後すぐに訪れたときに触れたことがあります! 各部に所属していた選手の一覧を見ることができるんですよね。

チャン

はい。過去から現在までの体育各部出身者や早稲田スポーツに貢献された方々の情報が検索できるんです。コロナ禍の現在は展示を中止していますが、いつかまた皆さんに活用していただければと思っています。

早稲田スポーツ名鑑。現在は休止中

体育各部セレクション/企画展示エリア

チャン

「体育各部セレクション」コーナーでは、全44部ある体育各部の歴史と現在の活躍ぶりを、写真資料やユニフォーム、試合で使用される道具などと一緒に見ることができます。3カ月ごとに6部ずつ展示替えしており、現在は弓道部、スケート部、空手部、フェンシング部、バドミントン部、日本拳法部というラインナップです。今回の見どころの一つは、1974年に撮影された空手部の夏合宿写真です。真ん中の人物に見覚えありませんか? 実は、田中愛治総長なんです!

山本

そうなんですね! 若かりし頃の総長…言われてみると面影がありますね。

写真左:体育各部セレクション。ユニフォームや道具などの立体物をどう見せるか、工夫しながら展示しているそう
写真右:中央が田中愛治総長

チャン

ミュージアムの中央スペースは、タイムリーな展示やテーマ展示など、さまざまな企画展を行うスペースでもあります。つい先日までは日本サッカーミュージアムの協力を得て、Jリーグ開幕関連資料を展示していました。現在は、体育各部セレクションの展示スペースとして、スケート部、フェンシング部の資料を展示しています。ここで紹介しているフェンシング部のユニフォームは、フェンシング競技の3種目のうち「フルーレ」のもので、全身可動のフレキシブルマネキンを用いて躍動感が出るように工夫しました。

企画展示エリア。一番奥はダイナミックシアター

山本

こんなに間近でユニフォームを見るのは初めてです。腰や頭の後ろから線のようなものが出ていますね。

チャン

それはボディコードと呼ばれるものです。剣先で相手を突くと、そのコードを伝って電気信号が送られ、電気審判器のランプが点灯する仕組みになっています。

山本

体育各部の歴史だけではなく、競技自体の勉強にもなります。

チャン

そうですね。こちらでは各部の歴史やこれまでの実績に加えて、現在の活動にも注目していただけるよう展示構成を考えています。

フォトコーナー

チャン

展示室内の最後のコーナーになりますが、こちらの「フォトコーナー」では、インタビューボードを背景にして記者会見風の写真を撮ることもできます。ちなみに、2020年プロ野球ドラフト会議で、4球団から1位指名を受けた野球部の早川隆久さん(2021年スポーツ科学部卒、東北楽天ゴールデンイーグルス)の指名あいさつ記者会見は、このミュージアムで行われたんですよ。

※早川さんの会見の様子はこちら

山本

ここで撮影したらいい記念になりますね。

写真左:フォトコーナーには日付パネルがあるので訪問の記念にぴったり
写真右:スマートフォン用記念撮影コンテンツ「早稲田スポーツ バーチャルフォト」もおすすめ

ウォーク・オブ・フェイム

チャン

それでは、最後にミュージアムの外にある「ウォーク・オブ・フェイム」コーナーをご案内します。ミュージアム横の通路に沿い、右側の壁では「早稲田大学スポーツ功労者」歴代表彰者のパネルが展示されています。この賞は、スポーツ振興に大きな功績があった方を表彰するもので、これまで19名が選ばれています。山本さんはこの中にご存じの方はいらっしゃいますか?

山本

陸上競技の織田幹雄さん(1931年商学部卒)は、所沢キャンパスにある「織田幹雄記念陸上競技場」の名称にもなっているので知っています! あとは、野球の王貞治さんの名前もありますね。

チャン

王さんは誰もが知っている方ですよね。織田さんも早大生なら一度は聞いたことがあるかもしれません。ちょうど反対側には織田幹雄さんに関する展示があるんですよ。この壁には人間のシルエットが施されていますが、これは織田さんが1928年アムステルダムオリンピックで金メダルを取った三段跳びの飛距離を表しているものです。当時の記録は15.21mでしたが、こうやって見るとすごい距離だったんだなと思います。

山本

実際に見てみると、本当にびっくりする距離ですね。

チャン

以上、早稲田スポーツミュージアムをご紹介してきましたが、いかがでしたか?

山本

早稲田スポーツ精神やその存在意義についてあらためて考える良いきっかけになりました。また、競技全般についてとても勉強になる展示ばかりでした。スポーツミュージアムは“早稲田スポーツ”をとても身近に感じることのできる場所だと思います。気軽に楽しめる要素がたくさん詰まっているので、ぜひ在学生の皆さんに訪れてほしいです。

取材・文=萩原あとり
撮影=小野奈那子

<早稲田スポーツミュージアム>

開館時間:10:00~17:00
休館日:水曜日ほか
入館料:無料
場所:戸山キャンパス 早稲田アリーナ(37号館)3階
問い合わせ:03-5286-9079(開館時間内のみ)

※「体育各部セレクション」では、2021年6月から新たに水泳部、バスケットボール部、バレーボール部、レスリング部、航空部、ラクロス部の6部を展示する予定です。

※その他の詳細は早稲田文化Webサイトをご確認ください。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の状況により、開館日程等は変更になることがあります。

5つのミュージアムを自宅で楽しむ、360度VRミュージアムツアー

今回紹介した早稲田スポーツミュージアムを含め、早稲田大学にある5つのミュージアムは、どこも無料施設とは思えないほど充実した内容を誇ります。せっかくなので実際に訪れるのが一番ですが、現在はWebサイト上でVRミュージアムツアーを公開しており、自宅などからでもその雰囲気を味わうことができます。コロナ禍のため足を運ぶことが難しい、キャンパスへ行くもののなかなか時間がない、訪れた際に気になった展示品をあらためて確認したい! など、ミュージアムへ行ったことがある人もそうでない人もぜひ利用してみてください。

※キャンパス名をクリックすると、各VRミュージアムツアーWebサイト(早稲田文化ラボ)へと移動します。

早稲田キャンパス(坪内博士記念演劇博物館、會津八一記念博物館、早稲田大学歴史館)

早稲田キャンパスには、古くからある坪内博士記念演劇博物館、會津八一記念博物館に加え、2018年に開館した早稲田大学歴史館があります。また演劇博物館は、2021年2月に緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業(EPAD)の一環として、舞台公演映像情報検索特設サイト「Japan Digital Theatre Archives (JDTA)」 を開設。現代演劇・舞踊・伝統芸能の3分野にわたる舞台公演映像の情報を検索することができます。

演劇博物館は古今東西の演劇・映像に関連する資料約100万点を所蔵する、アジアで唯一の演劇・映像専門博物館

写真左:2号館にある會津八一記念博物館は、會津八一博士収集の東洋美術コレクションをはじめ、日本および世界各地で発掘された考古学資料や近現代の絵画、美術作品などの資料約2万点を所蔵
写真右:1号館にある早稲田大学歴史館。早稲田大学の歴史だけでなく、学術資産や調査研究による新しい成果なども展示

戸山キャンパス(早稲田スポーツミュージアム)

今回特集した早稲田スポーツミュージアムは、早稲田アリーナ3階にあります。現在公開中の「体育各部セレクション(第6期)」のVRツアーはこちらから。

本庄キャンパス(本庄早稲田の杜ミュージアム)

本庄早稲田の杜ミュージアムは、2020年10月に埼玉県本庄市と連携して開館しました。地域から出土した多様な埴輪(はにわ)をはじめとする考古資料や、早稲田大学が所蔵するオセアニア民族造形美術品などの貴重な文化財を活用し、各地域の歴史をグローバルな視点で捉える展示を行っています。現在開催中の「世界をつなぐやきもの展」のVRツアーはこちらから。

 

こちらもおすすめ「早稲田大学文化資源データベース」

早稲田大学文化資源データベース」には、坪内博士記念演劇博物館、會津八一記念博物館といったミュージアムだけでなく、大学史資料センターや図書館などが所蔵する美術工芸品、書画、文書、博物資料、古典籍など、早稲田大学の貴重な文化資源を広く公開しています。3Dデータベースもあるので利用してみてください。

5月17日~28日-予想外が待っている- Museum Week 2021

早稲田大学の各ミュージアムの魅力を体感してもらおうと実施している「Museum Week」。今年は5月に開催することが決定しました。オンライン企画を中心に楽しいイベントをたくさん用意していますので、皆さんのご参加をお待ちしています。
詳細は決まり次第、下記Webサイトでお知らせします。

URL https://www.waseda.jp/culture/events/museumweek/

【次回特集予告】4月26日(月)公開「『学生生活・学修行動調査』特集」

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