Waseda Weekly早稲田ウィークリー

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2018年3月開館 草創期から現在・未来をつなぐ 体感型ミュージアム「早稲田大学歴史館」

早稲田大学は、中長期計画「Waseda Vision150」の中で、「キャンパスそのものをミュージアムにすること」を目標の一つに掲げています。坪内博士記念演劇博物館、會津八一記念博物館に続き、3月20日には早稲田キャンパス1号館1階に「早稲田大学歴史館」がオープンしました。そこで今回は、文化推進学生アドバイザー(※)の学生が歴史館を訪れ、本田博 文化推進部事務部長に見どころを聞きました。約300点もの貴重な資料が一堂に集結する新博物館。新入生はもちろん、早稲田をよく知る在校生もぜひ訪ねてみましょう。

※学生ならではの目線で、早稲田文化をより充実させるために必要なイベントや広報を考案・実現する学部・大学院生

本田博 文化推進部事務部長(左)、文化推進学生アドバイザー 文化構想学部 3年 田巻 直子さん(右)

建学の精神と早稲田の原点を伝える「久遠の理想」

本田:館内の常設展示は、三つのエリアに分かれています。それぞれ、「久遠の理想」「進取の精神」「聳(そび)ゆる甍(いらか)」と、校歌から取った名前が付けられています。

最初の「久遠の理想」は、黎明(れいめい)期から約40年、大隈重信の生きた時代と重なります。まず、壁一面に早稲田大学の長い歴史を一覧できる年表があります。「自分が大学にいたときはこんな時代だった」「そのときの総長は誰だった」など、ご自身の時代と重ね合わせてほしいと思います。ここはエントリールームになりますので、早稲田建学の理念を知っていただきたいということで、大学教旨も掲示しています。

田巻:荘厳な雰囲気の中に大きなパネルが印象的です。

本田:歴史館では、全体的にパネルやデジタル映像を多用して、見る方の関心に応じて鑑賞したり、新たな発見をしていただけるように工夫をしています。中央に「『早稲田』を創った若者たち」と書いてありますが、早稲田大学をつくったのは誰だと思いますか?

田巻:大隈重信です。

本田:そうですね。でもここには大隈重信の名前はありません。大隈は当時政治家として多忙でした。そのため、大隈の右腕となって貢献したのは小野梓で、その小野を慕って集まったのが後に「四尊」と呼ばれる高田早苗、天野為之、市島謙吉、坪内逍遙の4人の若き俊英たちでした。ここでは彼らが活躍した軌跡と事績を振り返っています。

4人の若者たちは、東京大学を出て官僚になる道もあった中、大隈や小野の理想に共鳴し、官僚の道を断ち切って早稲田創設のために集まってきた、そういう気概の若者たちです。当時、彼らは皆21歳から23歳だったんですよ。

田巻:私たちと年齢は変わらなかったのですね。

本田:そういう人たちの努力で今の早稲田大学が築かれたんです。それと、大隈と小野との出会いがなければ、早稲田は誕生していなかった。奇跡的な出会いだったということを、このエリアで知っていただきたいと思います。

東京専門学校のコーナーも歴史を知る上で重要です。大隈とその系列にあった官僚たちは、1881年のいわゆる「明治十四年の政変」で政府を追われました。その翌年に東京専門学校が創立しましたので、政府は警戒してさまざまな弾圧をしてきました。大隈は開校式にも出席せず、長い間、学校の表舞台に立つことがなかったんです。ここには、早稲田が弾圧を受けていたことを示す風刺画もありますね。ところで、早稲田らしさと言われて思い付くことはありますか?

田巻:バンカラとか、反骨精神とか…。

本田:はい。そういった言葉で表される早稲田独特の校風は、草創期のこうした苦難があったから形成されたのではないかと感じます。

ミュージアムショップの看板商品、マスクメロン。日本でいち早くマスクメロンを販売した新宿高野とのコラボレーションで実現した

奥のスペースでは、まず大隈の政治的な側面を紹介しています。銅像は、2号館にあった大隈記念室から移設したものです。スクリーンの前に立ってみてください。大隈が日本の首相として初めて吹き込んだ演説のレコードに、最新の光投影技術を融合した装置があります。定位置に立つと、「~あるんである」という独特の言い回しで演説する大隈の声が聞こえ、同時に大隈が右手を振り上げ、観衆が沸き立って揺れる様子を大画面で見ることができ、その場にいるような臨場感を体感できるんですよ。

大隈はとにかくいろいろなことに関心を持った人でした。大隈庭園の温室では、メロンやマンゴーも栽培していて、メロンは「ワセダ」という新品種まで作り出しました。実は、ミュージアムショップでマスクメロンを販売しています。大隈庭園で栽培したものではありませんが…帰りに立ち寄ってみてくださいね。

改革への挑戦を続ける現代進行形のWASEDAを表現する「進取の精神」

田巻:先ほどの重厚な雰囲気から一転して、カラフルでとても明るい空間ですね。

本田:こちらのエリアは現在の早稲田を見せています。「教育・学修」「学術・研究」「グローバル化」「学生生活」「文化・スポーツ」「校友会・稲門会」の六つのテーマに絞り、それぞれ3枚ずつのパネルで現在進行形のWASEDAを表現しています。

2016年のリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックに出場した、学生や校友の実物のサイン

東京タワーの設計を手掛けた内藤多仲(1886~1970)の設計図(複製)や、エジプト学研究所提供のエジプト遺跡の出土品も展示

本田:このロボットは、1973年に開発された世界初のフルスケール人間型ロボット「WABOT-1」です。「世界のロボット開発の父」とたたえられた加藤一郎(1925~1994、早稲田大学名誉教授)が開発したもので、西早稲田キャンパスに展示されていたものを、開館記念の特別展示としてお借りしています。それだけでなく、WABOT-1以降、現在までのロボット開発の歩みを、タッチパネルで見ることができます。

田巻:理工学部(西早稲田キャンパス)へ行く機会はほとんどないので、実物を見られるのはとてもうれしいです。昔の寮の写真や、試験問題もありますね。

本田:ここでは、昔と今の写真も比較展示しています。三朝庵(馬場下町交差点にある江戸時代から続くと言われる老舗そば屋)の昔のメニューもあります。匁(もんめ)で重さが書かれていたり、面白いですね。

左:2017年秋に空撮した映像が映る大パノラマ。ナレーションは、テレビアニメ『サザエさん』(フジテレビ系列)の穴子さんの声でも知られる声優・若本規夫さん(法学部卒)

右:誰でも無料で挑戦できる「早稲田大学歴史館検定」。大学に関する質問が10問出題され、8問以上正解すると検定合格。発行された合格証をカフェに持っていくと100円引きに。田巻さんは見事全問正解!

「進取の精神」エリア入り口のパネル前で

校友や関係者の多彩な人物像を紹介する「聳(そび)ゆる甍(いらか)」

本田:三つ目のエリアは甍になぞらえて、傑出した校友や関係者の活躍を紹介しています。常設部分と入れ替え部分の二つに分かれていて、手前の入れ替え部分は政治、経済、学術、文学、芸能、スポーツなど、定期的に分野を変えて紹介していきます。今は政治をテーマにしています。デジタルパネルに指でタッチしていただくと、その方のプロフィールや業績が出てくるような仕掛けもあります。

奥の常設部分では、スポーツ功労者や芸術功労者など、早稲田が誇る校友の功績を紹介しています。壁には「Words of Wisdom」として、校友や関係者の印象的な言葉を示しています。田巻さんはどの言葉に惹(ひ)かれますか?

田巻:井深大(まさる)さん(1908~1997、1933年理工学部卒)の「常識と非常識がぶつかったときに、イノベーションが産まれる」が目に留まりました。

作家の阿刀田高さん(1960年第一文学部卒)寄贈の『新約聖書を知っていますか』(1993年/新潮社)の直筆原稿と愛用の鉛筆も展示されている

本田:井深さんはソニーの創業者として、イノベーションを起こした方ですね。展示品は、校友の方のご厚意で寄贈いただいたものや、お借りしたものがたくさんあります。例えば、政治家の河野一郎さん(1898~1965、1923年専門部商科卒)が愛用していたペーパーナイフ。これはご子息の河野洋平さん(1959年政治経済学部卒)にお借りしたもので、一郎さんが1956年の日ソ国交回復交渉の会議に出席した際に、フルシチョフ(※ソビエト連邦第4代最高指導者)にもらったものです。

歴史館では、テーマや企画によって展示品を入れ替えながら、たくさんの方に、何度も訪れていただける施設にしていきたいと考えています。学生の皆さんもいつでも気軽に立ち寄っていただきたいです。

歴史館を観覧して 現役学生の活躍も歴史の流れとして見せるコンセプトに感動!

文化構想学部 3年 田巻 直子(たまき・なおこ)

――歴史館の印象を聞かせてください。

これまで1号館に入ったことがなかったのですが、想像していたより広くて、スケールが大きいと思いました。歴史と聞いて、昔のものというイメージを持っていましたが、最近の情報まで早稲田の歴史の流れとして扱っていて、その流れを明日につなげる、というコンセプトに驚きと感動を覚えました。カラフルで、写真やデジタル媒体もふんだんに使われていて、歴史が今につながっていることを実感しました。

――印象に残ったのはどこですか?

やはり、現役の学生について展示されている「進取の精神」エリアです。学生目線で見ることができて、とても楽しかったです。

――新たな発見はありましたか?

日頃、どうしても有名な方々に目がいきがちですが、あまり取り上げられることがない卒業生の活躍をたくさん見ることができました。

――文化推進学生アドバイザーとして、これから歴史館をどのように紹介していきたいですか?

既存の博物館に比べ、体験型の仕掛けが多いと思いました。また、映像もたくさん用意されているので、例えば留学生の方で日本語を読むのが苦手な方でも十分楽しむことができますし、日本人の学生でも早稲田のことをより深く知ることができるので、対象を絞らず、多くの学生に気軽に足を運んでもらえるよう、アピールしていきたいと思います。

左:館内のカフェ。ケーキや、公認サークル「早稲田大学珈琲研究会」がプロデュースしたコーヒーが楽しめる

中:「早稲田大学歴史館」エントランスには、「Waseda University History for Tomorrow Museum」の英名が。過去だけではなく、現在や未来の教育や社会貢献などの全貌を一堂に展示していることを示している

右:早稲田大学を紹介する各種パンフレットをはじめ、オリジナルグッズが並ぶミュージアムショップ。マスクメロンはここで買うことができる

【次回特集予告】4月23日(月)公開「飲酒マナー特集」

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