世界のESG投資を牽引する国連環境計画・金融イニシアティブが共著論文を高評価
商学学術院の宮島英昭教授、鈴木一功教授とロンドンビジネスクールのジュリアン・フランク教授、ブリュッセル自由大学のマルコ・ベヒト教授による共著論文 ‘Does Paying Passive Managers to Engage Improve ESG Performance?’がPRI in Person 2023において優秀賞を受賞しました。
PRI in Person 2023とは、世界各国からアセットオーナー、インベストメントマネジャー、政策立案者など金融の専門家等が一堂に会し、国連のイニシアティブのもと推進されている責任投資のほか、ESG投資に関する最新情報の共有や意見交換等を行う国際会議です。
第15回目となる今回は、2023年10月3日~5日にかけて東京で開催されました。日本では初の開催です。
各国から1000名を超える参加があり、30以上の催し物が実施されました。日本からは基調講演として岸田内閣総理大臣や小池東京都知事が登壇しています。
このうち、10月5日に鈴木教授がThe PRI Academic Network Conferenceのセッションの一つに登壇し、同論文について発表および議論を展開しました。その結果、宮島教授、鈴木教授らの論文が優秀賞を受賞しました。会議を主催したPRIには現在、全世界で5000を超える機関が署名しており、責任投資に関する主要な国際会議での受賞となります。

宮島英昭教授、鈴木一功教授(共に商学学術院)
本研究は、追加の株式投資と引き換えにポートフォリオ企業のESGパフォーマンスを向上させるために、「最大手のパッシブ運用会社に報酬を支払うことで積極的な関与を引き出す」という年金積立金運用独立行政法人(GPIF)による実証実験の効果を、「差分の差分法」と呼ばれる統計手法を用いて検証したものです。研究者らは、資産運用会社の関与により投資対象企業のESGスコアが向上したことを発見しました。
PRI(Principles for Responsible Investment:責任投資原則)
国連環境計画・金融イニシアティブと国連グローバルコンパクトのパートナーシップによる投資家ネットワークのこと。機関投資家が実践する原則として、「投資分析と意思決定のプロセスにESG(環境・社会・ガバナンス)課題を組み込む」「投資対象の企業に対してESG課題についての適切な開示を求める」など6つを提示し、原則への署名と原則実践のための協力を促そうとする提言で、ガイドライン的な役割を果たしている。
論文情報
論文名称:Does Paying Passive Managers to Engage Improve ESG Performance?
著者:Marco Becht、Julian R. Franks、Hideaki Miyajima、Kazunori Suzuki
公開日:2023年7月11日
公開URL:https://ssrn.com/abstract=4506415
DOI:http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.4506415