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早稲田が切り拓く「国際日本学」の可能性と、世界的な知の往来
統合報告書 -Vision Report- 2024-2025 #研究
Wed 15 Apr 26
統合報告書 -Vision Report- 2024-2025 #研究
Wed 15 Apr 26
国際日本学拠点 拠点リーダー
文化構想学部 教授 陣野 英則
答えのない課題に
果敢に挑む研究教育活動
早稲田大学の学術研究や教育は、そのどれもが人類社会に貢献するためにあります。世の中にインパクトをもたらす先端的・独創的な研究から、全学共通の文理を超えた教育への取り組み、そして学生たちがキャンパス内外で重ねる日々の挑戦まで、早稲田大学ではさまざまな活動が展開されています。その中でも社会的インパクトの強い活動内容とその成果を報告します。
―グローバルな研究事例―
日本文化を多角的に捉える新たな学問領域
国際日本学は、日本という文化や社会を多角的にとらえ直す学問です。思想、歴史、文学、藝術といった人文系の領域を基盤にしながら、日本がどのように理解され、どのように世界と関わってきたのかを、海外の研究動向を踏まえて読み解く姿勢に特徴があります。日本の文部科学省によるSGU(スーパーグローバル大学創成支援)事業を背景に、十数年前から各大学で展開されるようになりました。
早稲田大学では、国際日本学拠点が2014年度より本格始動しています。日本文化研究で名高いコロンビア大学とのダブルディグリープログラムなどからの一層の発展を企図し、SGU拠点として採択されたことを機に、組織的な取り組みが大きく進みました。日本文学を起点にしながらも、演劇、映像、メディア、歴史などへと領域を広げ、日本文化研究の多様な可能性と国際的ネットワークを育んできました。
国際日本学における早稲田大学の強みは、人文学の拠点がキャンパス内に密に集積し、一次資料に直接触れながら国際的な共同研究を深められる環境が整っている点にあります。貴重な資料群を有する図書館、演劇博物館、国際文学館(村上春樹ライブラリー)と連携することで、海外研究者や留学生との交流が広がっています。資料の背後にある歴史や表現の文脈を多様な研究者と議論するなかで、新たな視点が見出されることも多く、こうした知の往来を可能にする場こそ早稲田の力だと考えています。
人文学の国際的なプラットフォームを目指して
拠点発足以降、国内外でのシンポジウムやワークショップ、講演会などを継続的に実施してきました。コロンビア大学やカリフォルニア大学ロサンゼルス校などの海外提携校でも大規模な国際シンポジウムや学生主体のワークショップを開催し、パンデミック以降はオンラインによって参加の幅が広がりました。教育面では、英語学位プログラムの整備を進め、日本語を解さない人にも日本の文化が伝わるよう、英語で発信できる人材を育成していることも大きな社会的意義があると考えます。
今後、人文学の領域でもデータサイエンスやAIの活用は重要性を増しています。デジタル技術によって、これまで扱いが難しかった膨大な未読文献を研究の対象へと引き上げることも可能となるでしょう。あくまで人間による読解を中心に据えつつ、的確にAIを活用することで、より豊かな学術成果を社会に還元していきます。
私たちが長期的に目指すのは、個々の研究者同士のつながりにとどまっていた従来のネットワークを、早稲田大学がハブとなって体系的に結び直すことです。多層的な日本文化の姿を描き出しながら、人文学全体の国際的なプラットフォームとして機能し、世界の学術交流を索引していきます。
研究者の育成・支援
―キャリアステージに応じた最適なプログラムの提供―
早稲田大学では、研究者の各キャリアステージに対して最適な支援策を実施することを目指し、戦略的に制度設計をしています。
近年では重点施策として以下の研究者育成・支援プログラムを企画・運営しています。
次代の中核研究者育成プログラム
国際研究大学としての地位確立の担い手となる中核研究者を育成することを目指し、研究の業績や内容を踏まえた厳しい審査により対象者を選定し、状況やニーズに応じた支援を行います。
PI飛躍プログラム
挑戦的・独創的な研究に果敢に取り組み、独自分野の開拓を目指すPIを支援対象とし、研究促進費の助成、研究ネットワーク拡大や大型外部資金獲得、産学連携、国際共同研究、アウトリーチなどの活動支援を通じて、研究者として世界に飛躍することを全学的に後押しします。
研究環境向上のための若手研究者(PD等)雇用支援事業※1
従来雇用関係を有していなかった特別研究員(PD・RPD・CPD)のうち雇用を希望する者を直接雇用することで、若手研究者への支援を拡充し、安心して研究に専念できる環境を整備します。
早稲田オープン・イノベーション・エコシステム
挑戦的研究プログラム(W-SPRING) ※2
経済的支援および、産業界で幅広く活躍するための素養を身に付けるためのキャリア開発・育成コンテンツの提供等を通じて、我が国の科学技術・イノベーションを担う優秀で志ある博士学生の多様なキャリアパスの確立を目指します。
早稲田次世代AIイノベーション・エコシステム
挑戦的研究プログラム(W-SPRING-AI) ※2
経済的支援および、次世代AI分野に関する高度な専門性と研究遂行能力を身に付ける機会の提供により、国家戦略分野に指定されている次世代AI分野を開拓・牽引する志と能力を持つ博士学生の育成を目指します。
※1: 2023年度に日本学術振興会の「研究環境向上のための若手研究者雇用支援事業」に申請し、本学は雇用制度導入機関として登録されました。
※2: 国立研究開発法人科学技術振興機構の支援を受けて実施しています。
