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人との関係性に重きを置いた、早稲田のロボット研究の系譜

統合報告書 -Vision Report- 2024-2025 #研究

  • #Vision 150
  • #技術
  • #研究活動

Mon 20 Apr 26

統合報告書 -Vision Report- 2024-2025 #研究

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Mon 20 Apr 26

本記事は『統合報告書 -Vision Report 2024-2025-』に掲載された内容の抜粋です。

創造理工学部 総合機械工学科 教授
次世代ロボット研究機構 機構長 菅野 重樹

答えのない課題に
果敢に挑む研究教育活動

早稲田大学の学術研究や教育は、そのどれもが人類社会に貢献するためにあります。世の中にインパクトをもたらす先端的・独創的な研究から、全学共通の文理を超えた教育への取り組み、そして学生たちがキャンパス内外で重ねる日々の挑戦まで、早稲田大学ではさまざまな活動が展開されています。その中でも社会的インパクトの強い活動内容とその成果を報告します。

―ハイインパクトな研究事例―

1973年、世界初の人間型ロボットを学内共同開発した研究の歴史

早稲田大学のロボット研究の歴史は、1973年に私の恩師でもあった故・加藤一郎先生が中心となって、世界で初めてのヒューマンノイド(人間型)ロボットを発表した時に遡ります。前総長で音声認識合成の専門家・白井克彦先生が加藤先生と意気投合されたのがきっかけで、4人の先生方が共同で開発し誕生したのが「WABOT-1(ワボット1号)」です。

以来、早稲田は研究室間の連携によって研究を進めてきた歴史がありました。2015年には次世代ロボット研究機構が立ち上がり、学生も若手の研究者も一緒になって様々な研究に取り組んでいます。ロボット開発というのは総合技術なので、いろんな研究をそれぞれのグループでやって、それらを統合すればより良いロボットができる。そういう意味で研究機構はうまくまとまっていますね。

場面に応じて、フリーに人を支援する「フェイズフリーロボット」を開発する

東日本大震災の時に復興支援で瓦礫を撤去したり除染したりするロボットを作ったんです。それが契機となり災害対応ロボティクス研究所を創設しました。我々は「フェイズフリーロボット」という考え方をしています。家庭、医療、福祉、災害など、色々な場面に応じて、フリーに人を支援することが可能な多様な機能が備わったロボットを開発していこうということですね。

現在開発中の「AIREC(アイレック)」というロボットの場合は、先ず家庭や病院、福祉施設での支援を想定しています。例えば家事の場面では、洗濯やトイレ清掃、調理など一連の様々な動きのスキルを全部獲得し繋げてできるようになれば、といったやり方で進めています。また、実際に人に対して靴下を履かせたり、ベッドの上で体位を変えたりというような、色々な実験が進んでいます。今後はそれらのスキルを活かして被災地の仮設住宅の人手不足をサポートするような役割も考えられます。人と触れ合うロボットというのは、力強くかつ柔らかく支えるという、非常に微妙な部分が実現できないといけない。その研究に関しては、加藤先生の時代から人とロボットとの関係性をずっと考えていたので、早稲田は圧倒的に進んでいるわけです。

2030年代初頭、ロボットの社会実装に向けたゴール設定

ロボット技術はかなり進んできてはいるものの、実際の社会実装までには至っていません。現実的な場面や人の変化に対応して適切に振る舞えるよう完成度を上げるのはなかなか難しいのです。福祉や医療では人が相手で、一人一人違うし精神的な状態だって変化するわけですから、ロボットがそれを理解しどうサポートすればいいか判断出来るようにしないといけないので、方法論を確立するのが大変な壁なんです。その壁をなんとか打ち破って社会実装の実験が始められる段階に行ければと、AIもシステムもハードも全部組み合わせたゴールを、2030年ぐらいに設定しています。そして連携を望まれる企業と社会実装のフェーズに入れればと考えています。ちょうど2032年が早稲田創立150周年、2033年は理工学部の125周年にも当たるんです。

ロボット機構の中にはヘルスケアロボット研究所もあります。アイレックも、看護や医療のフェーズにも使えることを目標にしています。被災者の支援もそうですし、医療福祉の現場でロボットを使うにはどうすればいいかということも、相談を始めるところです。同時に、手術支援ロボット開発のプロジェクトも始めています。どのような場面でも、またかなり専門的な分野でも使えるようなロボットとして早稲田から発信可能になるような研究を現在進めているところです。

研究者の育成・支援
―キャリアステージに応じた最適なプログラムの提供―

早稲田大学では、研究者の各キャリアステージに対して最適な支援策を実施することを目指し、戦略的に制度設計をしています。
近年では重点施策として以下の研究者育成・支援プログラムを企画・運営しています。

次代の中核研究者育成プログラム

国際研究大学としての地位確立の担い手となる中核研究者を育成することを目指し、研究の業績や内容を踏まえた厳しい審査により対象者を選定し、状況やニーズに応じた支援を行います。

PI飛躍プログラム

挑戦的・独創的な研究に果敢に取り組み、独自分野の開拓を目指すPIを支援対象とし、研究促進費の助成、研究ネットワーク拡大や大型外部資金獲得、産学連携、国際共同研究、アウトリーチなどの活動支援を通じて、研究者として世界に飛躍することを全学的に後押しします。

研究環境向上のための若手研究者(PD等)雇用支援事業※1

従来雇用関係を有していなかった特別研究員(PD・RPD・CPD)のうち雇用を希望する者を直接雇用することで、若手研究者への支援を拡充し、安心して研究に専念できる環境を整備します。

早稲田オープン・イノベーション・エコシステム
挑戦的研究プログラム(W-SPRING) ※2

経済的支援および、産業界で幅広く活躍するための素養を身に付けるためのキャリア開発・育成コンテンツの提供等を通じて、我が国の科学技術・イノベーションを担う優秀で志ある博士学生の多様なキャリアパスの確立を目指します。

早稲田次世代AIイノベーション・エコシステム
挑戦的研究プログラム(W-SPRING-AI) ※2

経済的支援および、次世代AI分野に関する高度な専門性と研究遂行能力を身に付ける機会の提供により、国家戦略分野に指定されている次世代AI分野を開拓・牽引する志と能力を持つ博士学生の育成を目指します。

※1: 2023年度に日本学術振興会の「研究環境向上のための若手研究者雇用支援事業」に申請し、本学は雇用制度導入機関として登録されました。
※2: 国立研究開発法人科学技術振興機構の支援を受けて実施しています。

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