Global Research Center(GRC)早稲田大学 研究活動 Research Activities

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独創性を発揮する、気鋭の研究者たち(理工学術院 和佐泰明准教授)

早稲田大学PI飛躍プログラム 2026年度支援対象者の研究内容

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Tue 26 May 26

早稲田大学PI飛躍プログラム 2026年度支援対象者の研究内容

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Tue 26 May 26

独創性を発揮する、気鋭の研究者たち

早稲田大学では、独立した研究室を主宰する研究者(Principal Investigator/以下PI)を支援する「PI飛躍プログラム」を設置しています。5回目となる2026年度の公募では、13名の研究者より申請があり、3名が採択されました。

本シリーズでは3回にわたり、その独創性で社会的な価値を創造し、未来へと挑みつづける、それぞれの採択者の研究活動を紹介します。

世の中の森羅万象を数理モデル化し
俯瞰的視点から社会システムをアップデートする

理工学術院 和佐泰明准教授

理工学術院 和佐泰明准教授  撮影場所:西早稲田キャンパス

理工学術院 和佐泰明准教授  撮影場所:西早稲田キャンパス

理工学術院の和佐泰明准教授の専門は、制御工学。電力、経済、生命、ロボティクスなど幅広い領域に、システム制御や数理工学の視点からアプローチする、異分野融合理論の研究者だ。

「インフラや機械、金銭の授受、人間の行動など、私たちの社会はさまざまな現象で溢れています。この目に見えるシステム(Physical System)と同時に、AIやIoTなど実世界そのものを支えるテクノロジー(Cyber System)も存在する。両者から構成される“世の中”を“Cyber-Physical Human Systems(CPHS)”と捉え、その制御設計を探求することが、私の大きな目的です」

個別課題から構造的課題を発掘し、制御の知見により解決するのが、和佐准教授の研究課題

個別課題から構造的課題を発掘し、制御の知見により解決するのが、和佐准教授の研究課題

ロボットや自動車、半導体のコントロールで用いられる「制御」という概念だが、環境やエネルギー、交通、経済、生命活動など、より広範な事象も対象にできるというのが、和佐准教授の視点だ。例えば脱炭素社会に向けた国際協定は、さまざま関係者の意思決定や経済的利害を予測しながら設計されるが、それらを数理モデルに落とし込むことで、より良いものを目指すことが可能になる。

「自動車における半導体など要素技術の改善にも、その要素技術を使う自動車の動かし方も、制御は使われている。それらの改善は、気候変動やエネルギー性能、安全性や渋滞の解消など、複合的な事象を視野に入れることが重要です。複数の対象から構造的な課題を見出し、数理的アプローチで解決策を設計する。制御工学という分野は、こうした隠れた技術とともに発展してきました」

PI飛躍プログラムのテーマは、「自律性を伴う人とつながる制御システム設計論に関する研究」。AIエージェントが浸透する現代で、ヒトやAIのあるべき姿、多様な意思決定に基づく合意形成について、理解や誘導を図っていく。

「コンピューターが自律的に動く時代に突入する一方、人間にはデータとして可視化されない阿吽の呼吸のような経験則もある。人間やAI、多くの意思決定が混在する次の社会において、自律的な判断を最適化するマルチエージェントシステムを探っていきたいと考えています」

さまざまな分野の知見を融合しながら、数理で裏付けられたCPHSの基礎理論を構築する和佐准教授

さまざまな分野の知見を融合しながら、数理で裏付けられたCPHSの基礎理論を構築する和佐准教授

並行して取り組むのが、電力市場メカニズムの改善だ。電力改革により生じる課題の解決には、部分的な技術の改善のみならず、再生可能エネルギーの大量導入など、包括的な視点に立った制御技術や制度設計が必要になる。しかしこの領域にアプローチする研究者は少ない。

「電力の自由化などを受け、消費側も供給側も選択肢が大幅に広がっています。一方、原油価格の変動、天候に左右される太陽光電力の増減、不正な価格設定、各社の担当者の判断に至るまで、市場にはさまざまな要因が影響する。そこに経済学や深層学習技術の知見を含め、CPHSの視点から電力市場の適正なメカニズムを研究するのが、研究課題の一つです。数理に裏付けられた適正な価格モデルを、政府や市場、売り手に提示できれば、公正な意思決定に近づくことができるでしょう」

和佐准教授が分担執筆で参画した「Economically enabled energy management」

和佐准教授が分担執筆で参画した「Economically enabled energy management」

PI飛躍プログラムの採択を受け、和佐准教授は補助者の雇用などを通じ、研究を加速させていく。また、国際的な研究ネットワークの構築も強化したいという。

「コラボレーションの起点となる国際学会への参加を通じ、基礎研究の周知を計りたいと考えています。早稲田大学リサーチイノベーションセンターの研究戦略セクションURA*とも連携し、国内外のパートナー拡充も検討していきます。同時に、文理融合研究を希望する学内の研究者とも接点を持ちたいので、アドバイザーの支援も活用します。人文社会系の多くの課題に、私の手法は役立つはず。分野を横断しながら、研究活動を前進させたいと思います」

PIのニーズに沿った
テーラーメード型の支援プログラム

今回、3名の若手研究者が採択されたPI飛躍プログラムは、早稲田大学が2022年に新設した制度だ。PIの研究内容は独創的であるがゆえに、必要となる支援の形もそれぞれ異なる。それぞれのニーズに対し適切な支援をテーラーメード型で受けられることが、同プログラム最大の特徴といえるだろう。

研究者の成長モデルと本プログラムの位置づけ(イメージ)<br />
(学内の方はこちらへ ⇒ https://waseda-research-portal.jp/research-fund/early-stage-pi/)

研究者の成長モデルと本プログラムの位置づけ(イメージ)
(学内の方はこちらへ ⇒ https://waseda-research-portal.jp/research-fund/early-stage-pi/)

プログラムの対象は、博士学位取得後15年以内が原則。採択されると、研究環境整備などに充てることを想定した研究促進費が助成され、他の研究費との相乗効果を発揮できる。また、アドバイザー数名から成るチームにより、国内外の研究ネットワークの拡大、国際共同研究の企画・提案など、さまざまなアドバイスを得ることも可能に。さらに、本学リサーチイノベーションセンター研究戦略セクションURA*による、大型の外部研究資金獲得、産学連携の推進などに向けた伴走支援などサポートも受けられる。

採択された3名の研究者は、今後どのような成果を育んでいくのだろうか。それぞれの活動に期待したい。

* University Research Administrator:
研究者および事務職員とともに、研究資源の導入促進、研究活動の企画・マネジメント、研究成果の活用促進を行って、研究者の研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化を支える業務に従事する人材
(拠出:RA協議会WEBサイトhttps://www.rman.jp/ura/
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