研究キーワード
研究概要
2019年度から5年間にわたり、科研費基盤研究(A)一般「大規模災害からの復興の地域的最適解に関する総合的研究」(課題番号19H00613)(研究代表:浦野正樹)が給付されており、この研究所の研究テーマとも合致しているので、最終年度となる2023年度までは、この科研費研究を精力的に遂行していくこととした。
東日本大震災等に代表される災害事象は、私たちの社会生活を根幹から危機的状況に陥れ、現代社会が直面しているさまざまな課題を浮き彫りにする。同時に、この危機的状況に晒された個人や集団への対応は日本社会のもつ特質を示しており、個人の心身の状態やメゾ環境(家族、職場、学校、地域社会など)の属性に応じた現実的かつ効果的な社会生活支援のしくみを構想し実現することは重要な研究課題となる。また、その生活支援の実態の推移を通じて顕在化する日本の現代社会のもつ歪みや課題を掘り下げることもまた、重要な研究課題である。
それら東日本大震災に関わる研究と併行して、本研究所では、2020年初頭から全世界を襲った新型コロナウィルスの感染拡大状況とそれへの社会対応がもたらしたさまざまな課題と関連付けながら、現在の危機的社会状況の内実を明らかにすることを試みた。さらには、長期的な経済危機や激甚災害・パンデミックによる苦難などの社会背景が、国家の枠を超えて深甚な社会的影響を惹起し日常生活を混乱に陥れ、社会的な亀裂を深め、社会編成の仕組みや原理を変質させて民主的なルールを破壊していく局面を、調査研究し分析していく計画であった。