人間科学×データサイエンス
人間科学部4年 村上大斗さん
データサイエンスは文系と理系、双方の視点が必要な学問
人間科学部で教育データサイエンスを専攻しています。もともと数学系の学部への進学も考えていたこともあり、学部で受けられる科目以外でも「もっと数学を勉強したい」という気持ちがありました。そんな中、データ科学教育プログラムの存在を知り、自分にぴったりだと思ったのが受講のきっかけです。趣味が資格取得というもあり、リテラシー級、初級、中級、と目に見える形でステップアップできるのも魅力的でした。
実際に受講して驚いたのは、データサイエンスは数学というよりも文理融合の領域だということです。もちろん公式を使った複雑な計算などもあり、数学が苦手な人は難しいと感じることもあるかもしれませんが、もっと大事なのは「データを見てどこに着目するか、どう結びつけるか」です。現在、社会で何が起こり、何が必要とされているかを理解し、解決策を考えていくことが大切で、これには文系的な知識による発想力も必要だと思いました。理系の自分にとっては苦戦したポイントでもあります。
最初は「計算だけしていたい……」と弱気になったこともありましたが、人間科学部で社会学や都市研究、外国語や心理学など、さまざまなジャンルの学問に触れられたことで、視野が広がり、着眼点も変わっていったように思います。現在取り組んでいる卒業論文も、日本と諸外国の主観的な幸福度について、ライフイベントなどを軸に比較する研究を行っており、人間科学部で学んだ学問がとても役立っています。
卒業論文の執筆や、就職活動に目処がついた今も、資格取得に向けた勉強に励んでいるという村上さん。
静かで落ち着いた場所が多い所沢キャンパスは、よく集中できるそう
データサイエンスコンペで再認識したデータサイエンスの面白さ
データ科学教育プログラムのさまざまな講義を受けて知識が増えてきたので、何か目に見える形にしたいと思い、統計検定やアクチュアリー試験を受けました。いろいろなチャレンジをした中で、特に力が身に付いたなと実感したのは、2年連続で出場した「早稲田大学データサイエンスコンペティション」です。
1年目は「Emotify~TwitterAPIと感情分析を用いたメンタル管理アプリ~」というテーマで、同じゼミの大学院生や4年生などの先輩方と参加しました。普段の生活でのストレスを測定して、その解消を図るサービスを提案するという内容で敢闘賞をいただき、達成感と喜びでいっぱいになったのを覚えています。2年目は同じ学年4人で、コンビニにおけるクレジットカードの利用率の推移を分析しました。
特に1年目は、サービスに落とし込むにはどうしたらいいのかを考えたことで、「データサイエンスは実際にこういう風に役に立つのか!」と実感。今まで数字でしか見えていなかった勉強の可能性が広がった経験でした。他の出場チームの発表を聞くのもとても楽しかったです。中でも留学生の方々の視点は、考えたこともないものばかりで新鮮でした。同じようなデータを扱っていても、人が注目するポイントによって全く形を変えるのがデータサイエンスの面白いところだなと再認識しました。
また、データサイエンスコンペティションでは、協賛企業の企業紹介なども聞くことができ、企業におけるデータサイエンスに対するとらえ方などを学べたこともとても有意義でした。
データ科学を学ばないことがデメリットになる時代が来ている
Math & Stat Centerでは、LA(ラーニング・アシスタント)も務めました。主な仕事は講義での内容や専門分野への応用に関して、履修生からの質問に回答することです。専門知識に対する解説や、問題の解き方を教えていると、違う角度からデータサイエンスを見ることができ、さらに理解が深まりました。また、別の学部で勉強している学生、例えば応用数学を専攻している方と一緒に質問に答えることもあるのですが、「この領域はまだまだ勉強不足だな」と気づかされたり、新たな発想を得られたりすることも多いです。
学部やMath & Stat CenterでLAを務めたという村上さん。
普段の授業やゼミでは出会えない学生たちとコミュニケーションを取ることができ、刺激になったという
またデータ科学教育プログラムを学んだことで、データサイエンスに関する仕事がたくさんあることを知り、志望する企業の幅も広がりました。無事就職活動を終え、4月からは税理士事務所のエンジニアとして働きます。他業界に比べデジタル化が遅れている業界なので、まずはあらゆる業務のシステム化について取り組めればと思っています。将来的にはその先のデータ活用についてもチャレンジしていきたいです。
高校では、暗記しなければならないことも多く、あまり興味を持てないかもしれません。しかし大学でデータサイエンスの基礎から実践までしっかり身に付ければ、いろいろな領域に生かせるデータサイエンスの面白さに気づけると思います。これからの時代に必要不可欠なメディアリテラシーも身に付き、将来どんな仕事をするにしても役に立つ武器になると思うので、最近は学ばないデメリットの方が多いのではないかとすら思います。自分自身も、学んだことを生かして、データを中心とした意思決定ができるよう貢献していきたいです。