統計学×データサイエンス
国際教養学部4年 鈴本麻衣さん
データ科学で深まった知識が専攻選択のきっかけに
私は国際教養学部で、統計学を専攻しています。学部の講義で初めて統計学に触れた際に、その分析に必要不可欠なデータ科学に興味を持ちました。経済、医療、教育、政治など、さまざまな分野に活用できる点に魅力を感じたことを覚えています。担当の先生もとても親身で、講義後にたくさん質問しているうちに、「もっと学んでみたい」という気持ちになりました。
データ科学教育プログラムの講義を実際に受講し始めたのは、学部2年生の時。統計学の講義で興味を持ったことに加え、コロナ禍で予定していたオランダ留学が中止になり、時間ができたことも理由の一つでした。国際教養学部の魅力である留学ができなくなってしまったことで、「何か残るものを学ばなければ」という焦りもあったと思います。デ―タ科学教育プログラムの講義を通してデータ科学の知識を身に付けると、学部で学んでいる統計学がさらに面白く感じるようになり、学部でも統計学のゼミを選びました。
イラストが趣味で、SNSにアップして楽しんでいるという鈴本さん。
データ科学を学んでから、投稿する時間や文章量などによって変わるインプレッションを
意識するようになったそう
実践を繰り返すことでスキルが身に付いていることを実感
データ科学教育プログラムでは基礎から「回帰と分類のデータ科学」「時系列構造のデータ科学」といった実践的な内容まで、段階を踏んで履修することができます。オープン科目はいろいろなジャンルの授業があって面白いのですが、数が多すぎて選ぶのが大変ですし、手当たり次第に興味のあるものばかり受けていても、つながりが見えてこないのが少し不安でした。しかし、データ科学教育プログラムはどのように履修していけば知識が身に付くのか、道標が用意されているところが安心で、モチベーションにもつながります。リテラシー級、初級、中級と、受講した講義の数で認定がもらえるのも分かりやすくて嬉しかったです。
私はもともと文系で、数学が得意なわけではないので、「100%は理解できていないな」と思いながら次に進むこともありました。ただし、データ科学はツールなので、学部の授業の課題レポートで利用するなど、何回も使って場数を踏んでいくうちに、急に理解できることもあります。一度受講すると何回でもPCで講義内容を確認できるので、それも理解の助けになりました。
中華料理を食べるサークルに所属していて、学びも遊びも充実した大学生活を送っている
体系的にデータ科学を学べたことは自信につながった
現在所属しているゼミの卒論では、東京都内の不動産売上推移について研究しています。不動産に興味を持ったきっかけは、たまたま見ていたアメリカのリアリティショー番組です。不動産のさまざまな情報を基に顧客の購買意欲を刺激して、最後にはきちんと納得して購入してもらう姿をワクワクしながら見ていたのですが、ある時「これってデータ活用だ!」と気づきました。
ただ実際に取り組んでみると、不動産に関連するデータは膨大で、傾向を読み解くだけでもかなりの重労働だと分かりました。まずはデータを集めて、土地ごとに分割・比較し、変数を発見したら、さらに細分化し……という地味な作業をひたすら繰り返しています。特に難しいのは実際に購入する人は何を重視しているのか、そこに変化はあるのかを読み解くことです。データ科学教育プログラムでは分析方法だけでなく、それらをどうやって実際に使える形にするかを学べたので、とても役立っています。
私はもともと「これがやりたい!」という明確な目標がなかったので、入学してからもさまざまなことを学べる学部を選びました。入学後、実際に学部の授業を受ける中で、多様なジャンルの科目を受講できる分、体系立てて深く学ぶということはかなり難しいのではないかと思うようになりました。データ科学教育プログラムでは段階を踏んで、一つの学問を深められるのが、すごく魅力的だと思います。高校生の皆さんの中には、私のように「まだやりたいことがない」という方も多いと思います。データ科学はどんな専攻でも組み合わせて活用できる学問なので、身に付けておくといざという時に役に立ちます。
特に私は卒業するときに「大学で何もできなかった……」という事態になるのは避けたい! という思いが強かったので、少なくともデータ科学のスキルは身に付けられたという自信が付けられただけでも、受講して良かったなと思います。
文系ということもあり、内容に苦戦したこともたくさんありました。しかしデータ科学教育プログラムで学ぶうちに、一見無機質な数字たちも、人がある基準で並べたり整えたりするだけで、実用的になるのがすごく面白いと感じるようになりました。就職先もシステムエンジニアなので、これからもデータを現実に沿った形にして有効活用し、人の役に立つ仕事ができればと考えています。