School of Social Sciences早稲田大学 社会科学部

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【社会科学部報No.53掲載】「一緒に考えていこうよ」。

【社会科学部報No.53掲載】「一緒に考えていこうよ」。

2002年卒 柳内麻貴さん

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Profile
柳内麻貴
東京都出身
目黒星美学園出身

170か国以上、4億9500万世帯以上で視聴されている世界最大のエンターテインメント・チャンネル「MTV」。社会派プロデューサーとして、音楽番組を通し環境保護の大切さを若者たちに訴えている。「MTV THINK(考えよう)LOUD(声に出そう):eco」プロジェクトを統括。趣味は幼い頃からから習っている、箏。

Q. 社会科学部に入学された理由は?
A. 高校時代、ドイツの田舎町に留学にいったことがきっかけで、環境問題をとても意識するようになりました。日本には燃えるゴミと燃えないゴミの2分類しかない時代に、ドイツには6つもあり、とても驚きました。ドイツの徹底したゴミ分別の取り組みを目のあたりにして、環境意識の高さに驚き、日本との差を感じました。それから、「環境」を学びたいと漠然と感じ、さまざまな分野を勉強したいと思い、学際的なアプローチができるという社会科学部を選びました。その選択は間違っていませんでした。イメージしていた通りでしたね。

Q. 学生時代はどのように過ごされていましたか?
A. 1、2年生の時は授業だけでなくてサークル活動にも力を入れていましたが、3年生の時に、ドイツのボン大学に交換留学した経験が大きかったです。この留学プログラムは、大学院生向けのプログラムだったのですが、ドイツ語を教わっていた那須先生に推薦状を書いていただき、応募しました。留学中は大学のボンオフィスにもお世話になりましたし、ドイツ環境研究所でインターンもさせてもらいました。そして4年生の時は、ゼミのお陰で、本当に濃く充実した毎日でした。

ボン大学ジャズコーラスメンバーと

ボン大学ジャズコーラスメンバーと

ボン大学

ボン大学

Q. 卒業後はMTVではなく、別の職場に就職されたそうですね。
A. 学生時代に留学し、地球温暖化対策などを学び、ゼミでも平和学を学びました。卒業後はその環境の知識を生かしたいと思い、財団法人日本品質保証機構の研究職へ就職しました。ISOや京都メカニズムという単語は聞かれたことがあると思いますが、企業が途上国で手掛ける温室効果ガス削減事業が国際条約に合致しているかどうかを審査するというような仕事に携わりました。研究機関にいると、専門職としてエキスパートになれますし、それを突き進んでゆこうと考えていたのですが、自分が対外的に、もっと自分で伝えていきたいという気持ちが徐々に湧いてきました。

自然からの音を奏でる箏

自然からの音を奏でる箏

Q. 転職を決断されたのは?
A. 入社して3年が経ったころ、やはり環境の大切さや環境保護のさまざまな取り組みを世の中に情報発信したくなりました。体力もやる気もある20代だからこそできる、と思って。幼い頃から両親と共に琴も習っていて、音楽好きでもあったので、音楽チャンネルへの転職を決めました。前職とはまったく違う世界ですね。
「自分が本当にやりたいことは何か、心に聞いてみろ」「自分がその道で何かを学ぶことができるかどうか、考えてみろ」と先生に言われたことも後押しになりました。それに、安定を求めるとそこで終わってしまうような気がして。これからもどうなるかわかりませんが、やはり、自分にできることを、やりたいことをしていきたいと思います。 いままでにはない、音楽番組で環境問題を考える「MTV THINK LOUD : eco」を立ち上げるということができたのも、前職の経験があり、ちょっと、知識もあったからですね。

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MTV Beach Clean 活動

MTV Beach Clean 活動

番組収録の様子

番組収録の様子

Q. 社会科学部で培われたものが、今に活かされていると思われますか?
A. はい。ゼミはもちろん、基礎を学ぶ「社会科学総合」の授業もおもしろかったのを憶えています。社会問題を取り上げても、いつくかの視点から物事を見る、という様に、プロジェクトを立ち上げられたのも、物の見方を社会科学部で学んだからだと思います。プロジェクトリーダーという仕事は、さまざまな事を俯瞰的に見ないといけない。各部署の振り分けをしたり、担当を決めて、またそれを組み合わせて…いうところが、今考えると社学そのものだったのかな。 エコを取り上げたときやHIVを取り上げたとき、実は早稲田の学生たちにも協力してもらいました。私自身が早稲田の学生と一緒にやりたいと思ったからですが。彼らからも学ぶこともあったし、とても楽しかったです。そこに社学生がいると特に嬉しくて(笑)学生のときって、頭でっかちになっていない。頭やわらかいなあと思います。 番組作りに関しても、私たちが考えていることと、NGO・視聴者・スポンサーのマインドや目線は違います。伝えたいことを伝えることが難しい。学生時代に、こういう場合はこうなるだろうということをシュミレーションして、実践的な授業を受けていたことが活きていると感じます。

学位記を持って

学位記を持って

Q. 社会科学部で良かったと思ったのは?
A. 尊敬する恩師と出会えたこと。そして同志との出会いです。ゼミが私の人生を変えたと言えます。特に私たちの学年はとても個性豊かで、今もそれぞれが各方面で夢を実現しようと尽力しています。先生は、私たち学生ひとりひとりの性格を見破り、見極めていましたね。学問で悩む時も、人生の道で迷った時も、いつも優しくも厳しくも救いの手を差し伸べてくれたのは多賀先生やゼミの皆でした。悪いところや真をつくところを言える仲間。何万人の学生や何百人の先生がいる中で、この仲間に出会えたことは本当に運命のようです。

卒業宴会でゼミの同志と

卒業宴会でゼミの同志と

Q. ご自分がモットーとされていることはありますか?
A. 「一緒に考えていこうよ」ということですね。仕事では、エンターテイメントチャンネルで社会問題を取り上げるというと、すこし高い目線から押しつけるような感じになってしまいかねない。ただ、考えるきっかけを作りたかった。知らないことが恥ずかしいのではなくて、知ろうとしないことが恥ずかしいことだということを伝えたいですね。 そして、私はいつもポジティブに物事を考え、話すようにしています。言葉には言霊があって、自分が発した言葉も、本当にそうなると思っているのです。そういう言葉を、発信してゆきたいですし、「日本っていい国だな!」と思うような番組を作りたい。

Q. 今の社会科学部生に向けてメッセージをお願いします。
A. 経験で無駄になることはなにもない。私も、体験しないと話ができないんです。やはり経験が、力になってゆくのだと思います。学生の時にしか味わえない、いろいろなことを経験してほしい。そして、自分が何かしたい!と思うタイミングがあったら、周りにも相談して、そのタイミングを客観的に見てもらい、決断していってほしいです。

MTVで立ち上げた数々のプロジェクトをベースに、フリーのエンターテインメント&社会貢献のプロデューサーとして活動してゆきたい、と意気込む柳内さん。若者のリーダーとして社会問題を発信する彼女の今後の活躍にも期待したいと思います。

(聞き手・構成:志熊万希子)
掲載:社会科学部報No.53

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