【社会科学部報 No.51掲載】気づき、突き詰めろ。広く、深く。
2000年卒 中田 安彦 さん
Profile
中田 安彦(たなか やすひこ)
新潟県出身
卒業後大手新聞社で記者として勤務した後、現在は副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動している。
欧米企業・金融史を主な研究テーマとし、書籍を出版。
主なものに「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」がある。
Q.卒業されてからは新聞社へ就職、しかし現在は研究員として働かれていますが、どういったきっかけだったのですか?
A.記者をしていたのですが、色が違うというか、自分には合わないなと感じていたんですね。“ものを知る”という点では興味があったのだけど、表面的で…。もしかしたら雑誌の編集者のほうが合っていたのかもしれません、個別の出来事に関して、根本の理由を探るというようなことはしなかった。それで、たまたま副島隆彦さんの講演会に行ったのをきっかけに、政治に関わるようになり、今に至ります。
Q.学生時代はどのように過ごされていましたか?印象に残っている出来事はありますか?
A.サークルでアナウンス研究会に所属していましたよ。アナウンサーに興味があったわけではなくて、人前で話すことや、コミュニケーション能力を身につけたいと思って入りました。今でもかなり役に立っています。大隈講堂前での早稲田祭でのイベントは忘れられないです。あと、ゼミで白馬岳に行った時のことも印象に残っています。霧の中をみんなで歩いたんですが、田村先生が一番元気にどんどん登っていくんですよ(笑)スーパーマンかと思いました。
Q.社会科学部の良いところはどのようなことでしょうか?「社学で良かった」と思われたことは?
A.フレキシブルに、幅広く勉強できることです。僕も学問の基礎体力みたいなものを身につけることができました。これは社学ということだけではありませんが、早稲田のような大きな大学がもつすばらしいインフラ、図書館だとか、卒業生、人脈とかを大切にして、生かさないともったいないと思います。
Q.田村先生のゼミはいかがでしたか?
A.本などを読んで、実は、田村先生は「哲学者」とか、「思想家」的な方だと思っていたのです。しかし卒業してから国会の答弁に出ていらしたのを見たときに、イメージがだいぶ変わりました。学問は社会の問題と切り離された別のものではなく、現実の政策提言に繋がっているのだと改めて感じました。ゼミの取り組み 方を思い起こしてみても、社会につながることが多いとわかりました。
Q.学生時代はクラシック音楽に傾倒していたり、ゼミでも人のことをじっくり聞くというような凝性な性格だったそうですね。
A.そうかもしれない(笑)ゼミではじっくり聞いていた、というか、聞くことはできるけど、よくわかっていなかったから、発言するより聞いているほうが得策だなあというような姿勢でしたよ。それが冷静というふうに見えたのかもしれないですね。卒業してから、今になって勉強し直しています。本当にゼミは僕の勉強 の仕方や研究の基礎になっていますね。
Q.これからの早稲田大学もこんなところであって欲しいと思うことは?
A.10年前とは違って、いまは外国学生も多くいるし、そういう人と関われる環境やチャンスがある。英語の授業に力を入れているようだし、キャンパスを歩いてみても、あきらかに留学生が多いですよね。これからの早稲田生は、自分のポテンシャルをどんどん大きくして、国際的な視点を持った、グローバルな人間になっていってほしい。
Q.中田さんが普段心がけていることは?今後はどのようなことをされたいとお考えですか?
A.普段から「あれ?と思ったら調べる」ということを心掛けています。そうすると意外なつながりが見つかります。新聞では報道されていないことが見つかるし、その後に見るニュースはまた異なって見えます。日本では言われてないけれど、海外のメディアでは普通に言われているというものが多くあります。そういた世界の基準についていけないのではなくて、ギャップを埋めることが自分の役目かなと思っています。今はインターネットもあるので、何かを発言すれば、誰かが指摘・反論してくれ、間違いがわかります。昔だったら、偉い人が言った言葉は信じることが多かったでしょう。そういった点でも安心しています。
Q.今の社会科学部生に向けて、メッセージをお願いします。
A.わからないことはすべて聞くこと。遠慮なんていらない。先輩でも、友人でも、先生でも。早稲田にいる間、早稲田を使い尽すくらいの気持ちで4年間を過ごしてほしいです。早稲田生の活躍を期待しています。
中田さんは著書の中でも「ネットワーク力(人脈力)」が大切だとおっしゃっています。学生時代に知り合った友人と、色々な情報をやり取りしているそうです。授業、サークル、ゼミなど、大学で出会った人はみな資産であって、自分の宝物になるのではないでしょうか。みなさんも早稲田で最高の友人を見つけてください。
(聞き手・構成:志熊万希子)
掲載:社会科学部報No.51 2008年秋号