School of Social Sciences早稲田大学 社会科学部

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卒業生のみなさんへ(学術院長祝辞)

皆さん、卒業おめでとうございます。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、早稲田大学社会科学部を卒業する皆さんの巣立ちを「卒業式」で祝うことができなかったことに、甚だしく残念に思います。皆さんと共に研鑽してきた教員はもちろんのこと、皆さんを応援し、サポートしてきたご家族、ご友人の皆さんもきっと同じような思いでいるのではないかと思います。しかし、人類が第2次世界大戦以来の最大の試練に立ち向かっているいま、皆さんが社会人としての第一歩を踏み出すことは、誠に感慨深いことです。

今回の危機によって、大学を舞台に「国際化」を追求してきた我々を悟らせた第一のことは、「国境」の無意味です。世界のいたるところに自国中心主義が蔓延するなか、我々は、一人の判断と行動が一国のなかに止まらず、世界の人びとに影響を及ぼすことをまざまざと思い知らされました。また、人間同士、民族同士、国家同士が助け合うことの意味を身にしみて実感することができました。さらには、透明な政治と行政は、我々の思想の自由のみならず、身体の健康も保障するものだと再確認することができました。

危機はやがて去っていくでしょう。危機が去ったあと、我々はこの危機を振り返ることになりますが、人類はいままで歩んできた道のどこを修正しなければならないのだろうか。我々はこの問題を共有し、一緒に考えなければならない時期に来ています。早稲田の学生が大学で学んだことは、世界の人々とともに考え、ともに行動する知識と知恵です。卒業するにあたって、これらのことをもう一度確認してみることは、極めて意義深いと思います。

第一に、既有の概念や常識を疑い、自分で考え、行動することです。早稲田大学の歴史のなかで培わされた建学の精神は、「学問の独立」です。大学には、大学としての「学問の独立」の形がありますが、一人一人の学生の「学問の独立」は、独立の「思考」から出発しなければなりません。現代人はインターネット上の情報に振り回されがちです。人々は悪意をもって虚偽の情報を流していなくても、情報が無数のフィルターを経て伝わっているうちに、本来の姿からかけ離れたものに変わってしまいます。我々は無意識のうちに、ネット上のあやふやな情報をそのまま鵜呑みしてしまうかも知れません。

大学での4年間、皆さんが学んだ最も大事なことは、真理を追求する姿勢ではないでしょうか。私の専門の歴史学で言えば、「史料批判」です。先人や他人が残した記録は、どのような時代背景のもとで、どのような社会環境のなかで、また、誰を読者として意識して書かれたものなのか、このような情報を確認しながら史料を読まなければ、歴史解釈は間違ってしまいます。

「学問の独立」を確保するものは、「批判の精神」です。皆さんが早稲田で、学んだ第一のことは、「独立の精神」と「批判の精神」ではないでしょうか。

第二に、他者への想像力と寛容さです。社会科学部は単に高度な専門知識を覚えていく場ではありません。むしろ、あなたの人生にとって、何が一番大事かについて悩み、考えるところです。また、多様な文化と価値に出会う場でもあります。ここで、各国の学生が国境を越えて、如何にしてこの世界をよりよいものにするかについて議論し、探求しています。みなさんは授業やゼミを通じて、常に他人の意見を傾聴すること、違う文化を尊重することの意味を確認するとともに、多様な価値観と対話する能力を身につけたのではないでしょうか。これから皆さんが活躍する舞台は「世界」です。対話する相手も「世界」です。そのため、他者への想像力を大事にしていっていただきたいと思います。

第三に、失敗を恐れない「実践」の精神です。テキストで学んだ知識を実社会にどのように応用していくのか、これこそが社学の学生がもっている典型的な問題意識です。社学での4年間、皆さんは教室やキャンパスを飛び出して、実践的な学習もたくさんしたと思います。いろんな失敗も経験したでしょう。しかし、それらの試行錯誤は、今は皆さんの糧となり、社会人としての皆さんを支えていくでしょう。もちろん、社会人としての第一歩を踏み出したときから、違う失敗を繰り返すかも知れません。しかし、実践のなかで学んだことを「自分の言葉」で、人々に伝え、社会に発信していくこと、これが一番の早稲田らしさ、社学らしさではないでしょうか。

さて、大隈重信は次のようなことを述べたことがあります。「社会の表舞台に立って活躍しようと思う者は、政治家であれ、実業家であれ、教育家であれ、絶えず時代の趨勢に着目して、その消長変遷に対応するだけの新しい知識を吸収するように努めなければならない。それはもちろん、読書が必要である」

私は毎年この言葉を卒業生に贈っていますが、今日、早稲田から巣立っていく皆さんにもこの言葉を贈りたいと思います。

改めて、卒業おめでとうございます!

 

2020年3月25日

社会科学総合学術院長 劉傑

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