社会科学部長に西原 博史教授が就任しました。メッセージはこちらです。
社会科学部長 西原 博史
早稲田大学社会科学部に関心をお寄せいただき、ありがとうございます。
《社会科学の総合》という理念を掲げて1966年に設立された私たちの学部も、もうすぐ50周年を祝うところまで発展してきました。人類の直面する様々な難問を前に、複雑な対立を乗り越えて世界の新しい秩序を求める模索が続く今、私たちの学部が目指す明確な学問的姿勢は、現在でもユニークなものとして輝きを放っています。ますます社会に必要とされている、という使命感こそが、この輝きの根底にあります。
総合社会科学を学び、探求する
社会科学部は、《学際的》な教育・研究によって社会科学の総合を目指しています。政治学、法学、経済学、経営学、会計学等の社会諸科学は、それぞれの得意分野で有益な社会的役割を果たしています。しかし、こうした領域で専門化を強めてしまうと、厳密だけども守備範囲の狭い学問分野を作り、現実の社会の複雑さに対応する能力を失っていく危険があります。
現実的な問題を前にした時に、そこに切り込んでいく力を発揮するのは、各分野の得意なところを活かして協力関係を作っていくような、そうした総合的思考でしょう。そのためには、歴史・思想やコミュニケーション研究、さらには自然科学系分野の方法などについての基礎的な理解も必要になります。自分にとって大切な一つの社会科学分野の方法論を軸としながら、多面的な基礎能力を習得することで、ジェネラリストだから持てる問題に立ち向かう勇気に誇りを持つこと。私たちの学部は、そうした意味での《総合的》な取り組みを大切にしています。
先端社会科学を学び、探求する
今、世界を悩ませている問題を解決するには、既成の学問を当てはめるだけでは十分ではありません。環境問題、紛争・平和をめぐる問題、食糧問題、様々な人権問題などにおいて、問われていることは極めて複雑です。様々なアプローチを組み合わせつつ、対象を知ることで初めて可能になる深い洞察に基づく新しい枠組を打ち立てることが必要になります。
そのため、《学際的》な研究・教育は、知の最先端で新しい地平を切り拓く重要な役割を果たすことになります。私たちの学部は当初から《社会に開かれた学部》を目指し、実社会の中で問題に取り組む際に得られた新しい発想を活かす努力をしてきました。それが学際的な理論と出会うとき、そこに、問題解決を可能とする新しい理論が産まれることが期待できるのです。私たちの学部は、《問題解決能力》を支える《先端的》学問を目指しています。
グローバル社会科学を学び、探求する
学部設立の時期から、私たちの学部は、現代的な問題につきまとう価値観をめぐっての深刻な対立を意識してきました。グローバル化の進展とともに、世界に存在する多様な食い違った考え方をどのように調整し、平和な世界を作っていくのかという問いが喫緊の課題となってきました。異文化コミュニケーションの回路に、どのようにして冷静な社会科学的分析の手法を組み込んでいくかが問われます。
《社会に開かれた学部》とともに、私たちの学部は《世界に開かれた学部》を目指した展開を強化しています。英語による最先端の講義・演習を取り込む、2011年に始まった現代日本学プログラム（Contemporary Japanese Studies Program ＝ CJSP）がその一つの表れですし、様々な教育の国際化を実現するための取り組みが始まっています。学生の多様性を強化しながら、私たちの学部は、日本の常識で満足することなく、世界の最先端で問題を解決するための手がかりを提供するための、《グローバル》で《先端的》な学問の教育・研究に励んでいます。
こうした教育・研究を進める学部として、このページをご覧いただいている方々とともに、同じ理想の光を仰ぎつつ、一緒に学び、一緒に研究活動を遂行し、さらには研究成果を共有しながらお話しができる日を楽しみにしております。
