- 研究番号:25C02
- 研究分野:technology
- 研究種別:奨励研究
- 研究期間:2025年04月〜2026年03月
代表研究者

VO, Thanh Hung 理工総研が募集する次席研究員
VO, Thanh Hung Junior Researcher
理工学術院総合研究所 古井 健二 研究室
Waseda Research Institute for Science and Engineering
URL:https://w-rdb.waseda.jp/html/100003898_ja.html
研究概要
本研究の目的は、カーボンニュートラル社会の実現に向け、地下ガス貯蔵技術を支援するためのマルチフィジックス情報統合型機械学習フレームワークを開発することである。
現在、地下ガス貯蔵技術はCO2や水素などのガスを地下の安定した層に安全かつ効率的に貯留することが求められており、これらの課題を克服するためには、複雑な地下環境における物理的・化学的挙動を詳細かつ正確に予測する新たな技術開発が不可欠である。
本研究では、地下ガス貯蔵の最適化を目的とし、流体の流動特性、地質力学的挙動、機械学習を融合させ、地熱-水理-力学-化学(THMC)プロセスなどのマルチフィジックス現象を取り入れた統合型予測フレームワークを3年間で構築する。このフレームワークは、以下の段階的研究を通じて構築される。
(1)数値シミュレーションモデル開発(1年目) 初年度には、既存の貯留層シミュレーションソフトウェア(例:CMG)を利用し、CO2や水素ガスの地下貯蔵に関する詳細な数値モデルを開発する。このモデルは、貯留層の物理的特性やガスの動態を正確に予測可能なように調整される。
(2)機械学習アルゴリズム最適化(2年目) 2年目には、1年目に得られたシミュレーション結果を用いて、ランダムフォレスト、ニューラルネットワークなどの機械学習アルゴリズムを最適化し、地下貯蔵プロセスの効率向上および安全性評価の精度向上を図る。また、予測モデルの不確実性定量化を実施し、モデルの信頼性を向上させる。
(3)モデル精度検証と妥当性評価(3年目) 最終年度では、開発したフレームワークを用いて、実験室試験やフィールド試験から取得された現地データ、既存文献のデータと比較・検証する。これにより、実務適用に向けたモデルの精度と妥当性を徹底的に評価する。
将来的には、このフレームワークを産業界へ導入し、実際の地下ガス貯蔵プロジェクトに応用することで、ガス貯蔵プロセスの効率化やリスク管理の高度化を実現し、日本および世界のカーボンニュートラルおよびエネルギー転換への貢献を目指す。また、国内外の学術会議で研究成果を積極的に発信し、国際的な協力や知見共有の促進を目指す。