- 研究番号:23C10
- 研究分野:bio
- 研究種別:奨励研究
- 研究期間:2023年04月〜2024年03月
代表研究者

増田 亮 理工総研が募集する次席研究員
MASUDA Ryo Junior Researcher
理工学術院総合研究所 小出隆規研究室
Research Institute for Science and Engineering
URL:https://w-rdb.waseda.jp/html/100001179_ja.html
研究概要
コラーゲンは3重らせんという特殊な三次構造を形成し、らせん表面にアミノ酸を提示することでタンパク質と相互作用し、生物活性を誘導する。また、コラーゲン様のアミノ酸配列を有するペプチドもまた、3重らせん構造を形成することができる。申請者はこれまでに、ランダムな配列を有する3重らせんペプチドのライブラリを酵母内に構築し、そこからタンパク質に結合するペプチドを選択するシステムを確立した。昨年度の研究では、色素上皮由来因子(PEDF)に結合する新規3重らせんペプチドを取得した。
本研究では、コラーゲン結合性タンパク質であるフォン・ウィルブランド因子(VWF)やインテグリンa2b1を標的とした選択を行い、これらに結合する3重らせんペプチドの取得を目指す。VWFはインテグリンa2b1はコラーゲンと相互作用することで血小板凝集を誘導するため、これらに結合するペプチドは血小板凝集阻害薬のリードとなることが期待される。
VWFやインテグリンa2b1のコラーゲン結合ドメインを発現させた酵母を調製し、ライブラリを発現する酵母と接合、その後選択プレートに播種することで、標的タンパク質と結合する3重らせんペプチドを取得する。取得されたペプチドのタンパク質相互作用領域を有すペプチドを化学合成し、標的としたタンパク質との結合親和性を、in vitroのアッセイ系で評価する。また、コラーゲン上でVWFやインテグリンa2b1と共通の配列を認識するタンパク質(DDR2, SPARC, インテグリンa1b1)に対する結合親和性をもとに、得られた配列の標的特異性を評価する。
こうして得られたペプチドは、血小板凝集のメカニズムを生化学的に解析するためのツールとしてのみならず、血小板凝集阻害薬の薬物リードとしても期待できる。