- 研究番号:23C02
- 研究分野:science
- 研究種別:奨励研究
- 研究期間:2023年04月〜2023年09月
代表研究者

加藤 健太 理工総研が募集する次席研究員
KATO Kenta Junior Researcher
理工学術院総合研究所 山口潤一郎 研究室
Research Institute for Science and Engineering
URL:https://w-rdb.waseda.jp/html/100002209_ja.html
研究概要
1991年Mackayらによって提唱された炭素同位体であるMackay結晶は、既存のナノカーボンとは一線を画す、新世代ナノカーボンである。三次元周期性を有するπ共役系をもつMackay結晶は、自発的な磁性の発現や多接合による太陽光を余すことなく利用できる超高効率太陽電池の材料としての応用が理論計算により予測されている。そこで本研究では三次元周期性を有するπ共役化学の開拓を目指し、縮環した三次元π共役有機構造体の合成と徹底的な物性解明から、三次元π共役系の得意な物性・現象の探索と追究を行う。
本研究の目的は、三次元π共役系の性質解明である。周期性をもたない非平面π共役化合物が三次元π共役系として数多く報告されている。一方で、本研究のように、三次元方向に繰り返し構造を有するπ共役材料の研究は皆無であるため、極めて独創性の高い研究といえる。また、構成部品の構造や修飾により、電子構造を精密に制御することが可能であるため、適用可能な応用は、リチウムイオン電池、太陽光発電、分子フィルター、分子センサーなど数多い。このように幅広い応用展開が見込めることから創造性も高いと考えている。
Mackay様結晶は、3分子の[8]circuleneと4分子のtriphenyleneとの強塩基性条件での脱水縮合により構築する。ここで、COFは、他の結晶材料(分子結晶、MOF)と比較して結晶性が乏しいことが知られている。そこで、Mackay様結晶の基本構造である有機ケージを用いて、反応条件の最適化を行う。その際、溶媒や温度、時間のみならず、COFの結晶化においてイオン対の添加が極めて重要であることが報告されているため、添加剤の検討も行い、高効率での有機構造体の構築を目指す。