- 研究番号:21C03
- 研究分野:science
- 研究種別:奨励研究
- 研究期間:2021年04月〜2022年03月
代表研究者

加藤 健太 理工総研が募集する次席研究員
KATO Kenta Junior Researcher
理工学術院総合研究所 山口潤一郎 研究室
Research Institute for Science and Engineering
URL:https://w-rdb.waseda.jp/html/100002209_ja.html
研究概要
有機π共役化合物は有機エレクトロニクス材料として注目を集めている。本研究では、非平面化とヘテロ原子の導入した新奇π共役系化合物の合成と基礎物性の解明を目指す。
多環芳香族炭化水素(PAH)は、そのπ共役骨格に基づいた得意な電子的、光学的および磁気的特性をもつ。これらの特性を巧みに利用する有機エレクトロニクスの開発が盛んに行われている。PAHのπ共役骨格の改変方法として、非6員環の組み込みやヘテロ原子との置換が知られる。非6員環を組み込むとPAHは非平面構造をとり、その構造に起因して得意な動的挙動やパッキング構造を示すようになる。また、構成炭素原子をヘテロ原子へと置換することで電子構造の劇的な改変とルイス酸・塩基性の獲得が可能である。これら二つの改変方法を組み合わせた非平面かつヘテロ原子を有する新奇PAHはどのような基礎物性を有するのかに興味がもたれる。しかし、非6員環の組み込みには歪みエネルギーの克服のため厳しい反応条件が必要となる一方でヘテロ原子はその厳しい条件で壊れてしまうことが予想される。
本研究では、まず量子化学計算により妥当な合成経路を予測する。算出した合成経路に従い、非平面かつヘテロ原子を有する新奇PAHの合成を目指す。合成した新奇PAHは各種測定装置を用いて基礎物性の解明を行い、新しいπ共役化合物としての性質を明らかにする。続いて、他の非平面PAHとの複合化や官能基化により更なる機能発現を試みる。