Waseda Research Institute for Science and Engineering早稲田大学 理工学術院総合研究所

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【開催報告】第13期アーリーバード成果報告会「研究室を飛び出し新たな世界へ ~異分野交流による新たな価値の創造~」

3月8日金曜日午後、理工学術院総合研究所(以後、理工総研)の若手研究者育成・支援事業『アーリーバードプログラム』の1年間の活動を締めくくる成果報告会が開催されました。成果報告会は昨年と同様にウェビナーを用いたハイブリッド形式で行いました。

最初に理工総研副所長・高橋大輔先生より開催挨拶をいただき、続いて佐藤さんと高野さんが本プログラムの年間の活動報告を行いました。

(以下、〔  〕内は記事執筆したメンバーです)

1年間の活動報告

第13期アーリーバードプログラムは2023年6月から始まり,前期は5回,後期は10月から月約4回のペースで計7回の活動をメンバー全員で行いました.今年度は昨年同様基本的に対面での活動を行いました.コロナ禍が過酷であった時期と比べて,対面でお互いの意見を交換できることで,非常に充実した活動ができました.

自己紹介の様子

さて,続いて今年度のアーリーバードプログラムの活動内容について報告していきます.我々は,最初はメンバーの自己紹介からスタートし,多様性に飛んだバックグラウンドや研究内容を紹介しあい,質疑応答はアーリーバードメンバーで非常に盛り上がり,メンバーの人となりを知ることで年間を通した活動を行うための準備を整えました.

自己紹介後は,今年度のグループ発表の方針についての意見交換を行いました.昨年度は,4つのグループでそれぞれの分野を組み合わせた共同研究計画を立てていましたが,「異分野の研究者同士の繋がりが少なかった」というご指摘を先生方からいただいていました.そこで我々は,より研究者同士の繋がりを強くした発表を行うため,具体的な研究計画ではなく,グループでの討論をベースとした自由な発表形式を取ることにしました.後ほどグループの発表については詳しく述べます.

若手研究者の自由討論 グループワーク

そして,後期からは普段出会う機会がなかなかない先生方の貴重な講演を3件拝聴しました.1件目は,文部科学省人事課の中澤恵太様より産学連携の重要性についての講演を拝聴し,さらに博士学生から見た国の科学政策について熱いディスカッションを行いました.2件目は,久留米大学分子生命医科学研究所・遺伝情報研究部門教授の児島将康先生の競争的資金申請書の書き方の講演を拝聴しました.普段お伺いすることができない審査プロセスから考える競争的資金申請書の伝えるべきポイントなどを学ぶことができました. 3件目は, 京都大学高等研究院院長,特別教授,文化勲章及びにフィールズ賞受賞者の森重文先生のご自身の研究経歴とフィールズ賞受賞にあたってのご経験談,端射線の理論などの講演を拝聴しました.森先生の講演会後には懇親会を行い,ある発見が繋がり大きな発見となる研究のエッセンスを学びました.〔先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 博士4年/綱島秀樹〕

 

中澤様講演会の様子

児島先生講演会の様子

森先生との集合写真

 

 

 

 

 

 

 

5min.プレゼンコンテスト

今年度も各メンバーの1年間の研究成果発表をする5min.プレゼンを実施しました.発表時間は5分と非常に短い中で,様々な分野の研究者が集結するアーリーバードにて,研究意義からインパクトを伝えなくてはいけないため,非常に難しい発表形式でした.第13期アーリーバード13名それぞれが趣向を凝らし,素晴らしいものとなっていました.

審査は審査員である先生方2名による表彰(最優秀賞,優秀賞),ウェビナー参加者からの投票による2名(同率1位が2名)の表彰がされました.先生方からの評価による最優秀賞は川崎純菜(電生/学振PD)さんの「誰でも使えるデータの解析で動物由来ウイルスを監視する」,そして優秀賞は阪井健人(機航D1)さんの「キャビテーション現象からアプローチして水素社会への貢献を目指す!」でした.先生方からはどの発表も甲乙つけ難いと大変嬉しい評価をいただきましたが,お二人の発表は時間を忘れて聞き入ってしまうとおっしゃっており,頭ひとつ出た発表となっていました.

最優秀賞の川崎さん

優秀賞の阪井さん

 

 

 

 

 

続いて,ウェビナー参加者からの投票による同率1位はFang Yishui(建築D2)さんの「動く建築の研究とプロトタイプの開発」と佐藤由弥(先進理工一貫制3年)さんの「ヒト大脳オルガノイドを用いた、カンナビノイドがヒト脳細胞の分子機能に与える影響の解明」でした.このお二人の発表は現地にいないウェビナー参加者をも惹きつけるとても魅力的で素晴らしい発表でした.5min.プレゼンのあとに,後期からアーリーバードメンバー全員でグループごとに取り組んできた若手研究者の自由討論の発表が行われました.〔先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 博士4年/綱島秀樹〕

一般投票部門最優秀賞 Fangさん

一般投票部門最優秀賞 佐藤さん

 

 

 

 

 

若手研究者の自由討論

若手研究者の自由討論は,第13期アーリーバードメンバー13名が3つのグループに分かれ,グループ折々のテーマを発表しました.この企画は異分野交流を目的としたものであり,約半年に渡って各グループ議論を重ね,審査員の先生方2名に審査していただきました.各グループのメンバーと研究計画のタイトルは以下の通りです.

[グループA] 異分野連携による研究提案のブラッシュアップ〜地震対策を例に〜
メンバー:川崎 純菜(電生/学振PD),黒澤 美樹(応化D3/学振),阪井 健人(機航D1),土井 雄太(生医D1),Fang Yishui(建築D2)

[グループB] コンピュータビジョンの爆発的隆盛異分野とのシナジー
メンバー:綱島 秀樹(物理D4/学振),青木 康貴(建設D2/学振),佐藤 由弥(先進理工一貫制3年),大澤 慶彦(表現D1/学振)

[グループC] Youはどうして博士課程へ?~私達を支えるモチベーション~
メンバー:高野 俊輔(ナノ理工D1),田中 優帆(数学D2/学振),中居 詢子(生命理工D3),真殿 航輝(情報D3)

先生方の審査は,発言は適切か・議論としてまとまっているか・異分野交流による相乗効果・自由加点の4項目を各5点満点で評価していただきました.結果として,グループCが最優秀賞に選ばれました.先生方からは「文献を正しく辿った上でよく調べられて検証がされている」と素晴らしい評価をいただきました.また,「さらに詳しく分析がされていれば,早稲田大学の総長の前で講演してもらいたかった」という歯がゆいお言葉もいただきました.若手研究者の自由討論では,最優秀賞をいただいたグループCだけでなく,グループA,Bのメンバーもお褒めの言葉を先生方からいただき,アーリーバードメンバー全員の大きな糧になりました.以下に各グループの代表者の感想を掲載します.
〔先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 博士4年/綱島秀樹〕

グループA:本チームでは地震対策をテーマに議論を行いました。地震の専門家がいない中で研究計画を立てたため、完成度は高いものではありませんでしたが、各自が率先して背景を調べ、各々の専門分野からどのようにアプローチできるか考察し、全員が同じ目線で議論できたので、アーリーバードプログラムの異分野の若手研究者の交流という点で、非常に有意義なものだったと思います。また申請書形式で各々が考えた研究計画の共有とフィードバックを行ったため、専門外の人が自分の申請書を見た時に分かりづらい表現にどういうものがあるか等、今後の研究活動をしていく上で参考になりました。このような機会を設けて下さった事務局の方々、審査をして下さった先生方、そして共に活動したメンバーの方々に感謝を申し上げます。
〔先進理工学部 生命医科学専攻 博士1年/土井雄太〕

グループB:本チームではコンピュータビジョンを基軸として土木,生命医療,ソフトコンピューティングの相互インタラクションについて議論を行いました.近年隆盛を極めているコンピュータビジョン技術は転用可能性が非常に高く,異分野への適用と,逆に異分野からコンピュータビジョンへの課題提示という観点から異分野の若手研究者の交流として有意義な議論が行えたと思います.また,議論内容は共立出版様のコンピュータビジョン最前線Summer(2024年6月発売)のコラムとして掲載されるので,有益な知見を社会に還元できたと考えています.チームマネジメントの技術も身につき,チームメンバーに感謝すると共に,事務局の方々,審査していただいた先生方にお礼を申し上げます.
〔先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 博士4年/綱島秀樹〕

グループC:本チームでは博士取り巻く環境についての議論を行いました。議題は博士全員に馴染みがある話題ではあるものの、抽象度が高く分析内容に関する点に関してとても難しい課題でした。とりわけ異分野の博士学生らが考えた調査結果という観点では、「さすが博士学生から得られた知見である」という点にも注意を払う必要があり、いい切り口を見つけるのにそれなりの時間を費やしました。実際には内的要因・外的要因に関して文献調査しながら内容整理を行い、博士学生の生の声をデータ分析することで博士が今現在どんなことにモチベーションを感じているのか・どんなことをしたいのかについてまとめることができました。審査の高橋先生からは特にこういった内容が大きな研究機関でも関心が持たれている課題であり、分析内容や手順に関しても評価いただいたことは良い経験となりました。お世話になった方々に感謝すると共に実際に得られた知見を今後の研究生活に活かしていきたいと思います。
〔基幹理工学研究科 情報理工・情報通信専攻 博士3年/真殿航輝〕

最優秀賞のCチーム

終わりに

成果報告会の最後には理工総研副所長・古井健二先生から講評および閉会のご挨拶をいただき,第13期アーリーバードプログラム成果報告会は幕を下ろしました.本年度の成果報告会では、メンバーによる研究プレゼンや共同研究計画を通じて、異分野融合や共同研究を執り行う上で大切なことを身を以て学ぶことができました。本報告会にご参加の皆様,そして今期アーリーバードプログラムを支えてくださった皆様に改めて感謝申し上げます。

開催概要

異分野交流で未来を拓け!第11期アーリーバード成果報告会

日時|2024年3月8日(金)13:00~16:10
会場|オンライン開催/ Zoomウェビナー
内容 年間活動報告、メンバーによる5min.プレゼンコンテスト、若手研究者の自由討論発表
プレゼンコンテスト審査員|理工総研 副所長 高橋大輔、古井健二※ ※審査員長

アーリーバードプログラムとは?:理工学術院総合研究所の若手研究者(博士後期課程~ポスドク)育成・支援プログラム。異分野の若手研究者同士が交流を図りながら、研究者としてのスキル・キャリアアップを目指して、ワークショップや交流会を自らの手で企画・実施する活動に取り組む。2024年度第14期アーリーバードの公募は4月3日から行う予定。

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