九州大学大学院工学研究院・主幹教授の田中敬二氏に「Society5.0の実現をもたらす革新的接着技術の開発」の演題でご講演いただいた。モビリティにおいて接着技術を導入するために学理に基づく信頼性が求められる背景と、部材に埋もれた接着界面層の評価解析やマルチスケールおよび時間を考慮した4次元解析がボトルネックとなり接着機構の理解さえ十分でない現状が紹介された。続いてJST未来社会創造事業 大規模プロジェクト型「界面マルチスケール4次元解析による革新的接着技術の構築(通称CREA)」の取り組みが紹介された。CREAではアカデミアと連携企業が、接着現象に関連する界面の学理からものづくりまで一貫して研究開発を行っており、先端技術の社会実装からバックキャストしたCREA推進の考え方が紹介された。続けて会場およびオンラインより多数の質問が寄せられ活発な質疑が行われた。バックキャストとフォアキャストの視点、オープンおよびクローズドの戦略、学および産での知財の扱い、プロジェクト終了後の知財の維持など、サイエンスの成果を如何に社会実装に繋げるか、種々の苦労や課題も含め率直な議論が行われた。16:00-17:30の予定を超えて17:50まで活発な質疑が続いたため、須賀准教授による研究所報告は次回に持ち越しとし、17:50に閉会とした。